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南方熊楠氏の本をおすすめして
いたのは、たしか河合隼雄さんだった。
博物学者、民族学者、菌類学者である
南方氏の言動や性格は奇抜で、
逸話は多数あるという。
こちらは著書というより、画集。
熊野の森で40年間をかけて描き続けた、
執念の菌類図譜(約3500枚)の中から、
選び抜かれた120点を収録。
大きさにしてA4判。
びっしり書かれた細かな筆記体。
貼り付けた手製の袋には、
実物の標本が入っていたという。
ページの上には、錆びたクリップのあと。
学術的な価値はどうあれ、コラージュとドローイングの味わいある画集のようだった。
どこを開いても目を楽しませてくれてたのしい。
引き出しの多い難解な記述は、とても読めないので、少しくらい訳が添えられてあったらよかったな。
見ごたえあるけれど、読みごたえはなかった。

解説者によって、下枠には、作成年度と、その当時の南方氏の生活の様子や、
採集された場所や、人物について記されている。

昭和天皇に、変形菌の標本を進献した経歴もあるという。
ソクーロフの『 太陽
』で、天皇ヒロヒトが、公務の合間、菌類の研究をする場面があったのを思いだした。
歩く百科事典、19ヶ国語を操る、エキセントリックで、酒豪。なんともすごい人だ。
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