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瓦屋根の古い家屋が建ち並ぶ小さな町。
警官の友川(奥田)は、平和なこの街で
荒んだ毎日を送っていた。そんなある日、
喫茶店で知り合った少女に誘われホテル
へいく。やがてふたりは本気で惹かれあい
友川の退廃した人生も変わり始めるのだ
が―――。
先日の『 風の外側
』が記憶に新しい、奥
田瑛二による監督デビュー作。原作は、
中年男と少女の純愛を描いた、連城三紀
彦の短編小説。
なんとなく捨てておけない作品だった。
フランス映画を意識した音楽や演出からは、
ふしぎな情緒が漂う。昭和の匂いがぷんぷん
するのに、どこかヨーロッパチックだ。
北野映画を思い出すアートを取り入れた画面、監督自らが出演する奇妙な間、外国で評価さ
れるところもちょっと似ている気がする。
それでも 中年男と少女の純愛 から目を逸らせなかったのは、陽子役の 小沢まゆ の体当たり
演技がとても好きだったからだと思う。
陽子の母は放蕩の果てに再婚して家を出た、兄は知的障害者、祖父は彫物師。自分は学業
の傍ら、まだ15歳で納棺師について 死に化粧 を学んでいる。とてもまともじゃない環境で育った
陽子は当然大人びて、中学校でも浮いた存在で友だちもいない。
そんな彼女がSOSを発し近づいたのが、背にじいちゃんの彫った刺青<比翼の鳥>が羽ばた
く町の警官・友川だった――。

すべてを知って近づいた陽子の強い意志と、少女と本気で生き直したいと思いはじめる友川の
真剣な気持が、行けばゆくほど切なくなる。
障害を持つ兄のエピソードや、自殺した父親の記憶、友川と母の腐れ縁・・・・・ユーモアを交え
ながらも、小さな町に淀んだ過去が重苦しくのしかかる。
情けない友川よりも、よほど真摯に現実を見据えて、陽子は生きている。
写真のとおり、陽子は背に刺青を入れるのだけれど、これって『蛇にピアス』よりずっとヘビーだ。
彫物師のじいちゃんが、今生の最後の仕事として陽子の背に刺青を彫らせほしい・・・・・・そう
哀願するのだった。
「そんなことしたらわたしお嫁にいけないよ ! 学校の検診だって温泉だって困るよ !」
現実的に当然断った陽子だけれど、紆余曲折あって結局彫ってしまうのだった。友川の背に
雄だけで羽ばたく鳥が両の翼と目を与えられるように―――。
の仕事道具はまだ電化されていない手作業、半端なく痛そうなのだ。小沢まゆの苦悶の表情
がたまらなくいい。奥田作品のエロスはこんなところにも表れてくる。
痛みに堪えて、やっと手に入れた<比翼の鳥>。
フランス映画のようなラストシーンに、ふたりの幸せを素直に喜べる爽やかなハッピーエン
ド。あからさまに思えるオブジェには目をつむってしまおう。
原作は別物のようだけれど、読んでみたいなーと思った。
監督・製作/ 奥田瑛二
原作/ 連城三紀彦 『少女』
脚本/ 成島出 真辺克彦
出演/ 奥田瑛二 小沢まゆ 小路晃
(カラー/132min)
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