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2026.02.08
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カテゴリ: ひな祭り特集


奈良の都に春の気配がふわりと漂いはじめるころ、ぼくは佐保川のほとりを歩くのが大好きだったんだにゃ。
朝露に濡れた草の匂い、遠くで鳴く鳥の声、そして川面をすべる風のひんやりした感触――
にゃんこの鼻と耳には、季節の変わり目の気配がいち早く届くんだにゃ。


※AIさんが描いた奈良時代の「上巳の節句」

その日はいつもと違って、川辺がなんだかそわそわしていたんだにゃ。
絹の衣をまとった貴族たちが、まだ薄暗い空の下に静かに並び、
まるで朝の光を待つ花のつぼみみたいに、息をひそめていたんだにゃ。
ぼくは草むらの影からそっと顔を出して、その光景をじっと見つめていたんだにゃ。


だから三月の始まりには、こうして佐保川に集まって厄を祓うんだって、
ぼくはいつも川辺にいる年寄りのカラスから聞いていたんだにゃ。


※AIさんが描いた奈良時代の「上巳の節句」

昔はね、人間たちは本当に川に入って身を清めていたらしいんだにゃ。
でも春先の水はにゃんこでも飛び上がるほど冷たいから、
貴族たちは震えながら「これはつらいにゃ…」と思ったに違いないんだにゃ。

そこで生まれたのが、形代という不思議な板なんだにゃ。
人間たちはその板で自分の肩や胸をそっとなでて、
悪い運気が板に吸い込まれていくと信じていたんだにゃ。
ぼくの目にはただの木の板に見えるけれど、
人間の祈りがこもると、なんだかほんのり光って見える気がしたんだにゃ。


板は水の流れに乗って、くるくる回りながら遠くへ旅立っていく。
その姿を見送る貴族たちの横顔は、朝日を浴びて金色に輝いていて、
ぼくは思わず尻尾をふわっと立ててしまったんだにゃ。


※AIさんが描いた奈良時代の「上巳の節句」

川のせせらぎ、衣擦れの音、祈りのような静けさ――

ぼくは草むらの中で小さく丸くなりながら、
「人間って、にゃんこよりずっと複雑だけど、こういう時はとてもきれいだにゃ」
なんて思ったんだにゃ。

そして形代が見えなくなるころ、川辺の空気がふっと軽くなる。
まるで人間たちの心が一斉に晴れたみたいに、
春の光がいっそうやわらかく広がっていったんだにゃ。


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最終更新日  2026.02.08 17:24:03 コメントを書く


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