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キンメダイは好きな魚のひとつである。
煮付けに刺身と、とてもおいしい。
そのキンメダイにこんな思い出がある。
学生最後の帆船での遠洋航海のハワイからの帰り道、日本の手前まで来たところで、予定より早く着きすぎる。ということで八丈島と小笠原の間あたりで一晩漂泊(drifting 錨が届かない深い海でエンジンを切って漂うこと)することになった。
その日の夕方、一隻の漁船が近づいてきて漁師のオヤジが「ロープ投げろ!」と叫んでいる。
ロープを投げるとその先に麻袋を結んで今度は「ロープ引っ張れ!」と叫んだ。
ロープを引っ張りあげてみると麻袋の中にはでっかいキンメダイがゴロゴロと10匹ほど入っていた。50センチ近いキングサイズのキンメである。
「キンメ食えよ!」と言い残して漁師のオヤジは漁船で去っていった。
海のど真ん中に漂っていたものめずらしい帆船に気前の良い漁師がキンメを分けてくれたのである。
さっそく、賄いのおっちゃんに煮付けてもらった。
「こりゃ料亭で食ったら一万円は取るぞ!」なんてワイワイ言いながら食べた。
マヂでうまい。頬の肉ばかり食ってたら「あんちゃん一番うまいところ知ってるなぁ」と賄いのおっちゃんに言われた。そう。頬の肉が魚の一番うまいところなのである。
みんなでうまいうまい。と食ってる中、一人ブチ切れたのが船長。
「まだ日本に入国してない船が国内の船と物のやり取りしたら捕まるぞ!!」と。
確かに麻袋の中身がキンメダイだったから良かったようなものでピストルだの覚せい剤だったらシャレにならない。
あの時のキンメダイの味はいまだに忘れられない。漁師のおっちゃんありがとう。
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