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顔も思い出せない婚約者に、婚約解消を提案しましたが ~一見冷たい美形魔術師様が秘めていた愛情は、予想外に重かったようです~1 (ブリーゼコミックス 84) [ 二重いち実 ]
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ちなみに漫画家さんの絵自体はうまいし、漫画としても読みやすかったです。
ひとつ苦手な点を「絵」であげるなら、ヒロインの相手の男・レナートの顔ですかね…寄り眼が気になって気になって……っ
もうこのヒーローの寄り眼がずっと気になってどうしてもイケメンに感じられないんですよっ
無表情系男子ってのは好きなんですが、なんで寄り眼になるんですかね…
異常により目で、もうほんとそこだけはどうしても受け付けませんでした。
他の男キャラはそうでもないのに、なんでヒーローだけあんな寄り眼なんですか…勘弁してください…
で、内容はというんですが、
う、うーん……
ものすごく…虚無です。
読んでて…一言でいうとつまらないんですよ。「退屈」です。
ヒロインのセレスにしてもレナートにしても、性格的にはごくふつうにいい子ですし、いいやつなんですが、ただそれだけって感じですし。
あとこれはなろう系少女漫画なので、くっっっっだらない「水晶鑑定」が出てきます。ほんとこの水晶に手をあてて魔力鑑定するってのが、私的にはどうしても受け付けないんですよ。ばかにしてんのかとイラっとします。
確かに魔力なんて目で見えるものではないからそれを測定するのに何かしらの道具を用いること自体はまあいいんですよ。
たとえて言うなら、世界的に有名な某ポッターの組分け帽みたいな感じで、「道具」が魔力の属性を確認する、というのはあってもいい。ある意味で「映像的」ではあるんでわかりやすさ特化という点でしかたない側面もあります。
でもね、なろうの場合はもうそれが当たり前になりすぎちゃって、無個性すぎるんですよ。その世界独自のものがない、と作者自ら言ってるようなもので、つまり「二次創作」でしかないとぶっちゃけちゃってるんですよ。
そしてわたしはその「二次創作」の元ねたを知らないので、楽しみようがない。
こういうのは、オリジナリティをだすところでもあると思うんですよ。
組分け帽だって、あれはあれでちゃんとオリジナリティーめっちゃあるでしょ
まあ、あの作品わたしは実は苦手なので詳しくはないのですが、世界的な人気のある作品だけに、独自の設定があったり、古典的な「魔法使い」をうまく踏襲しているでしょ?なのですんなり入り込めるんですよ。
ま、まあ、いいや。それはさておき。
この作品はタイトルからしてなんか違うんですよ。
タイトルで釣らなきゃならないので仕方ないとは思うんですが。
「顔も思い出せない」っていうけど、思い出すも何も、目の前にその男いるやん?
「思い出す」必要あるの?
これがね、例えばなんですが
ヒロインのセレスが出先や職場などでヒーローであるレナートの顔をその都度「忘れて」、毎回「どなたでしたでしょうか」と尋ねて、別れるとまた顔を思い出せなくなる、ってんならタイトル通りだし、面白い展開になると思うんですよ。
でもセレスは「思い出して」しまったあと、レナートを忘れることはないんですよ。
だったら「顔も思い出せない」ってタイトル、おかしいでしょ?
これはまあこの作品に限らず、いわゆるタイトルに偽りありってやつで、なんかもーそれだけで読む気が削がれてしまうんですよね
内容は、なんだかよくわからんのですが、展開がちょっと遅く感じました。
とはいっても、たぶんこのくらいの展開ペースでいいとは思うんですが、どうもこう「なろうの臭み」がきつくって、読むのがつらいからなんですよ。
魔力どうのの設定がそれですね。
ヒロインはどうせ魔力激強なんだしなーと思うと気持ちが萎えるというか。
いちおう冒頭から、いくつかの「謎」が提示されているので、その点はいいんじゃないかなと思います。
なぜセレスはレナートを好きにならなければよかったと思ったのか、なぜ婚約を解消したいのか、そして馬車の事故はほんとうに「不慮の事故」だったのか、レナートが「思い当たること」とはなんなのか。
ちゃんとこれだけ、はやいうちに提示されているので、ひとつひとつ理由を追っていくことになるので、そこに楽しさは見いだせるかと思います。
それにしてもセレスはあまり行動しないんですよね。
レナートを好きだったことは周りに知られているわけで、その「恋心」が自分から失せてしまったことに対して、気にならないのかね?探ろうとしないのも変ですよね?
そしてどういったいきさつで婚約にいたったのか、確認しませんかね?
もちろん家同士でどうのって話なら「あ、そう」なんですが、婚約が決まったその直後あたり、自分はどのように行動していたか、周りはどうだったか、調べてみたくありませんかね?
それってたぶん、馬車の事故にもつながる流れなんでしょうに…なんかヒロイン、あまり行動しないんですよ。
職場復帰したなら、その点も調べようと思わないかな?
もちろんもうほんとにレナートが「無理」となったのなら、そのあたりの感情を描いてほしい。
レナートもレナートで、婚約破棄を言い渡されて、それにたいして「心当たりはある」といっておきながら、友人の助言を入れて距離縮めてくるんですよ。
んんんん?
いや、レナートね、セレスは記憶が戻っても婚約を望まないかもと危惧してますよね?
なんであきらめている態なのに、距離ちぢめてくんの?
距離を縮める前にやることあるよね?
自分が無表情だから要らぬ誤解をセレスにさせたようだ、というのが心当たりってことはさすがにないと思うのだけど、
「心あたり」があって婚約破棄されそうってんなら、それまず開示しよ、セレスに。
記憶が戻っていないことを踏まえてでいいんですよ。
自己満足でもなんだっていい。
まずひとつ、距離を縮めようとするのなら、これこれこういった事情があった。だが私は君が好きなので改めて親交を深めたい、と。ちゃんと報告してくれよ。
じつはここもなろうの臭みなんですよ。
なんでか「報告」しない。
つまりこの報告させちゃうと「すれ違い」がかけないからですよね?
こういう、作者側の意図がすっけすけに見えてしまって、物語に没入できなくなるんですよ。
作者という「物語」をつくっている何者かがいる、というのは創作物を読んでいる時点できちんとわかっています。それでも、作者の意図にまんまとハマッたり読み込んだり考察したりが楽しい創作物は多いんですよ。
でも、なろう系は違います。
ただ作者が描きたいことを楽して描いているだけとしか見えず、キャラクターや世界に命がないんですよ。
読者は物語を読みたいのであって、作者の手抜きをみたいわけではないんです。
ご都合展開自体は全然いいんですよ。
たとえばこの作品ならば、ヒロインのセレスが「レナート」という婚約者のことだけすっぽり記憶から抜け落ちてしまった、というのがその「ご都合」です。
でもそれはいいんですよ、それが「物語」であり、そこから物語が広がっていくのだし、読者側としてどうして婚約者の記憶だけ失くしたのかと、気にかかるところですから。そしてそれが物語への入り口だし、きっかけです。
ところがその物語の中に入ってみると、用意された舞台にいるのはうすっぺらい台本を見ながら棒読みするキャラクターなんですよ。生きた縁起ができていない。しかも台本は穴あき。
キャラクターの見た目はいいのに、目も当てられない大根キャラでは、何をどう楽しんで物語をみればいいのか…
ま、まあ、これはこの作品に限ったことではないので、この作品だけがお粗末だと言ってるわけではありません。
上でも述べましたが、ちゃんと先が気になる展開というのは用意されているし、漫画家さんの絵も綺麗ですので、すらすらと読み進められます。
ちゃんと漫画として丁寧に描かれているとも感じました。
婚約破棄ってのは、まあつまり、流行っているから要素として入れただけでしょう。
ただそれだけのことで、テンプレに沿ったともいえる少女漫画なので、気軽に読むことはできると思います。
不快なキャラもいませんしね。
私はと言えば。。。まあその…なろう臭きつくて脱落してしまいましたが。
こればかりは好みというか私の偏見なので、この作品に罪はありません。