読書の部屋からこんにちは!

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2011.04.29
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カテゴリ: 小説
【後半でちょこっとネタばれしています。ご注意を】

吉田修一さんは、「パレード」に続いて2冊目です。「パレード」もよかったけど、私の中では中くらいの感動だったので、「悪人」も中くらいの期待しかしていなかったのですが…
これはものすごく良かったです。
人間とはこんなに愚かで悲しいものなのかと、胸に迫って苦しいくらいでした。


この小説の舞台は九州の福岡県、佐賀県と長崎県ですから、登場人物はみんな九州方言を話します。
わたしは九州生まれではないけれど九州に来て長いので、九州方言の抑揚や微妙なニュアンスもほぼ全部わかります。そのうえ、地名も身近なものが多かったし、どんな場所なのかもわかっています。さらに言えば、お金持ちのかっこいい大学生が通っていた大学が、どの大学をモデルにして語られているかも、はっきり分かります。
(これは、この大学の関係者はあまりおもしろくないかもしれないけど、この小説に出てくるようなイメージがあることは否めません)
そんなわけで、ますます臨場感があったので、登場人物に深い思い入れを持つことができたのかもしれません。


ところで、いつものように「読書メーター」の方にも短い感想を書きました。

主人公の周囲の人については細かい日常が描かれているのですが、肝心の主人公については、あまり触れられていないのです。というよりも、彼の見たこと、彼の考えたことや感じたことが、ほとんど書かれていません。
だから、主人公祐一がどんな人間かは、その祖父母やおじさんや、被害者や、光代、風俗の女の人が見た祐一を通して想像するしかないのです。
著者は、タイトルを「悪人」として、祐一はほんとうに悪人なのかと、問いを投げかけているのかもしれません。


祐一は殺人を犯したのですから悪人と呼べるのかもしれないけど、被害者の佳乃はどうなの?お金持ちの大学生増尾はどうなのよ。と、読んだ人なら誰でも思いますよね。特に無罪放免となった後の増尾の言動は許せません。
死んでる人間を山に捨てたら罪になるけれど、怪我をさせた生きている人間を山に捨てても、罪にならないんですね。
祐一が逮捕された後、祐一の証言により光代は被害者となって普通の生活に戻れるのですが、祐一の本当の心を感じ取ってあげて!と叫ぶように思いました。が、この点は明らかにされないままで終わってしまいます。あーつらいわ。


ところで、映画「悪人」では深津絵里さんが立派な賞を受賞されて話題になりましたね。わたしは深津絵里さんが前から好きだったので、とてもうれしかったです。(まだ映画は見ていませんが)
祐一役の妻夫木聡さんは、基本的に平和な善人の顔をしているように思うので、どんな「悪人」を演じたのか、とても興味がわいてきました。時間があれば、この連休中に見たいと思います。





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Last updated  2011.04.29 09:28:06
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