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トルコ当局は18日までに、クーデター未遂に関連して全国で警察官や地方自治体幹部ら8777人を停職処分とした。アナトリア通信が報じた。当局は既に軍と司法の関係者計約6千人を拘束。反乱を口実に、エルドアン大統領と敵対するイスラム指導者ギュレン師の支持者らを幅広い分野から一掃する構えだ。
エルドアン氏は17日、反乱に関わった人物に対する処刑要求が出ていることについて「人々が望むものを手に入れるのが民主主義だ」と述べ、死刑制度復活に向けて野党と協議する考えを示した。

トルコの軍はこれまで何度もクーデターを起こしている。最近はトルコ軍がエルドアン政権によって抑えこまれていたようだが、今時やっちまった感のあるクーデター未遂を起こした。
その背景には、軍の中に高まっていたいくつかの不満が関係しているようだ。そのひとつは、エルドアン政権が独裁化を進めていること、そしてイスラム化を進めているという認識からだ。軍はトルコ共和国の建国原則である政治と宗教の分離を常に主張してきており、何度もそれを守るためにクーデターを起こしてきたことがあり、その面で不満があったと思われている。
もうひとつは、クルド人との内戦、イスラム国によるテロが国内で起きていること、その対策の先頭に立つのが軍であるが、エルドアン政権が整合性のないことをやるから軍が犠牲を強いられているという感覚があったようだ。
さまざまな複雑な要因が絡み合っているようだが、実際は何が直接的な引き金になったかは、まだわかっていない。
トルコ政府は、関与したとみられる軍・司法関係者ら約6000人を拘束して調べているが、具体的に名前が出ているものとして、アキン・オズトゥルク元空軍司令官、アーデム・フドゥティ陸軍第2軍司令官、エルダル・オズトゥルク陸軍第3軍司令官らの首謀者を始め、大統領に重用された軍事顧問アリ・ヤジジ大佐ら少なくとも将校70人が逮捕されているようだ。
トルコ政府はアメリカ在住のイスラム指導者ギュレン師が背後からこのクーデターを操っていたと言っているが、エルドアン政権は具体的な証拠を示していない。ギュレンという人はトルコ国内で確かに影響力を持っているようだが、これまではギュレンと軍は反対する側に立っていたようだ。というのも、ギュレンはイスラム教の指導者ですからイスラムを広めることに一生懸命で、軍はイスラムが政治に入ってくることを反対していたということで対立する側にいた。その軍の中にギュレンの支持派がいたというのがエルドアン政権の主張だが、もっと詳細な証拠を出さなければ説得力は得られそうにない。
今回のクーデターは軍の中のほんの一部が動いたにすぎず、軍が一枚岩でなかったことがクーデターの失敗につながった。また、このクーデターを起こした人たちの計画の稚拙さも浮き彫りになっているようだ。というのは、クーデターというのは人が寝静まっている夜中にやって朝目が覚めたら権力が移っているというのが本来のやり方だが、今回は夜の10時半ということでまだ人が動き回っているときに戦車を動かして、この人たち何やってるんだろうという感じがあったということだ。また、放送局を占領してクーデター側が戦力をとったぞと放送をしたが、放送局はいくつもあるのに国営放送だけを抑えていることや、この21世紀の時代に放送局を占領しただけでは意味がなく、ソーシャルネットワークをどう管理するかということがなければ情報は管理できない。その証拠にエルドアン大統領はスマホを使って国民に訴えた。このクーデターの試みに抵抗しなさい、体を張って立ち上がりなさいと呼び掛け、エルドアン支持者の多くは命をかけて立ち上がったわけだ。ですから、何十年も前のクーデターをドタバタとやってるぞといった、軍人としての資質を疑わざるを得ないような状況であったようだ。
今回の件を受けて大量の警察官が停職処分になっているほか、死刑制度の復活ということをエルドアン大統領が口にしている。
公正発展党(AKP)とエルドアン大統領の権力が強くなっていくことに不満を持っている人たちは、軍部だけでなく警察などにもいる可能性は十分に考えられる。特に、ギュレン運動の人たちというのは、警察にそういった人たちが多いと言われているようで、これまでも警察官の大量の入れ替えが行われてきたようだ。そうした中で死刑制度の復活という話しが出ているわけだが、現在トルコはEU加盟交渉をしており、それを継続していく意味でもあえてそこまでする必要があるのかは検討の余地がありそうだ。
今後のトルコの内政に関して、エルドアン大統領と公正発展党政権がより基盤を固めていく上で重要なことは、処分の対策を進めていきながらも、いかに不満を落ち着かせていくかということになる。
この危機を乗り越えたことで国民の支持は盛り上がり、エルドアン政権は自信を強めている。エルドアン大統領は、「反乱は神の贈り物だ」と言っているように、これを機に軍の粛正を進めると同時に、軍以外の反対勢力を一掃してしまおうという考えのようだ。結果的に、ドジなシナリオで動いたクーデターの失敗はエルドアン大統領にとっては大きなチャンスになったようだ。
・国会爆撃・メディア襲撃… 強権に不満、トルコ軍暴発 - 朝日新聞
http://www.asahi.com/articles/ASJ7J778WJ7JUHBI04B.html
・アッという間に市民に制圧されたトルコ・クーデターの隠された意味 軍2839人逮捕、判事2745人解雇 - Yahoo!ニュース
http://bylines.news.yahoo.co.jp/kimuramasato/20160716-00060043/
・トルコのクーデターを世界に伝えた、Facebookライヴストリーミング - WIRED.jp
http://wired.jp/2016/07/17/turkey-coup-livestream-map/
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