ラスタ・パスタのレレ日記

2004年12月05日
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ビッグバンド・ジャズの醍醐味を味わう!


マンハッタン・ジャズ・オーケストラ (MJO)のコンサートに行ってきた。


場所は、今年新しく出来た、


JR川崎駅に隣接している複合施設の一部で、駅についてしまえば、とっても便利。

ホールも、これがまた、すり鉢型のとってもいいコンサート会場。


夏に、セネガル の大パーカッション軍団のライブがあったので、チケットを取っていたのだが、例によっていくことが出来ず、残念な思いをしていたので、今回は、とってもハッピー。

会場がいいのもさることながら、ビッグバンド・ジャズのど迫力を満喫してきました。

マンハッタン・ジャズ・オーケストラは、先日紹介したマンハッタン・ジャズ・クインテッド(11月13日の日記「パスタのおすすめジャズCD 6枚」:トラックバック参照)のリーダー、デビッド・、マシューズが、クインテッド結成後5年して作ったもの。




デビッド・マシューズは、 ジェームズ・ブラウン

ロック、ポップ、フュージョンのアレンジャーとして活躍してきた経歴から、クインテッドを立ち上げたため、

ジャズ・クインテッドには、アレンジではなく、奇跡のようなアドリブが醍醐味、というハード・バップなジャズ・ファンから、当初賛否両論だったが、

ビッグバンド・ジャズ・オーケストラの場合は、アレンジがちゃんとしていないと、全体のまとまりがつかないし、迫力も出ない。

したがって、彼がアレンジャー兼ピアニスト兼コ・プロデューサーとして作り上げるMJOのサウンドは、非常にグルーブ感と爆発力があってとてもよかった。


編成は、
サックス3人(アルト、テナー、バリトン)
トロンボーン4人
トランペット4人

に加え、フレンチ・ホルン2人
チューバ1人


ドラムス1人

計16人プラス、デビッド・マシューズ1人の 総勢17名 での来日。

来日直前でのアクシデントで、2名ほど来日メンバーが入れ替わったそうだが、全体には影響はなかった。


特に、クインテッドの方のメンバーでもある、トランペットの ルー・ソロフ
聴いていて、ルー・ソロフがデビッドの片腕といってもいいのではないかと思った。


また、サックスのクリフ・ハンターは自己名義でのソロ・アルバムを何枚も出しているし、トロンボーンの4名は、グループでも活躍しており、


まさに、 NYのファースト・コール (レコーディングをする時に、プロデューサーやアーティストたちから、最初に連絡を受けるトップ・ミュージシャン)達の集まった、ジャズ・オーケストラだ。

また、クインテッドとは、ベース、ドラムスも違うメンバーで、まったく別の活動として受けとめたほうがいいかな、と思った。


ぼくは、今までに、

今はなき、 ジャコ・パストリアス (b)がウェザー・リポートを離れて結成した、ビッグバンドや、

これまた、今はなき、 ギル・エバンス

のMonday Jazz Orchestra at Sweet Basil, NY
(お店もなくなったらしいのだが、NYのスイート・ベイジルで、毎週月曜日の夜、演奏していたビッグバンド)

そのほかは、アマチュアの(一部プロも入るが)
横浜音泉倶楽部


といったところしか、ライブを体験していない。

ジャコのオーケストラや、ギル・エバンスのオーケストラは、どちらかというと異色のオーケストラなので、

したがって、オーソドックスなビッグバンド・ジャズがどういうものか(たとえば、デューク・エリントンやカウント・ベーシーのオーケストラ)は、CDでしか知らないのだが、

そういったオーソドックスな、名門オーケストラに比較しても、今の
マンハッタン・ジャズ・オーケストラは、質が高くかつユニークな活動、サウンドを出していると思った。

コンサートは2部構成で、演奏曲目を並べるとわかるが、彼らがジャズ・クラシックスやスタンダード曲ばかりではなく、今のサウンド、ジャズ以外の音楽を、見事にビッグバンド・ジャズに昇華しているのが凄い。

演奏曲目は、前半部

1.バードランド
2.デニア


「バードランド」は ウェザー・リポート
の代表曲で、これをビッグバンド風にアレンジした演奏はさすがだ。

ウェザー・レポートでは、ジャコが弾いていたベースのパートをホーン・セクションが鳴らす、という発想がまずすごい!最初のソロを前に出て、ルー・ソロフ(トランペット)がとり、次にクリフ・ハンター(サックス)がとる。

ビッグバンドの中でのソロのとり方の見事なお手本。でしゃばらず、でも大きな存在感。全体のホーン・アンサンブルとの調和。ちっとだけひねった演出。などなど。

「デニア」は、ジャコ・パストリアスの曲

3.テイク・ファイブ

デイブ・ブルーベックのヒットで有名な、これは定番曲。
きっと、みんな、CFや番組で、かならず耳にしたことあるはず。

4.サム・スカンク・ファンク

こういう曲をビッグバンドでやるところが凄い!
これは、有名なランディ・ブレッカー(トランペット)とマイケル・ブレッカー(テナー・サックス)の ブレッカー・ブラザーズ のヒット曲。

ブレッカー・ブラザーズは、ジャズ・フュージョンの有力バンドで、ベースにマーク・ミラーが参加するなど、ハードなフュージョンを展開していた。

そんなブレッカー・ブラザーズの曲をビッグバンドでやる、という発想、それから見事なアレンジ。デビッド・マッシューズのアレンジ力を最高レベルに発揮した曲で、見事な演奏だった。聴いていて、とにかく、次はどう音楽が展開していくんだろう、とわくわくして来た。

5.フィーバー
6.シング・シング・シング


「シング・シング・シング」は、 映画「スウィング・ガールズ」 でも演奏されていた曲。

ベニー・グッドマン のオーケストラの演奏で大ヒットした曲で、これも定番中の定番曲。

ウェザー・リポートやブレッカー・ブラザーズの曲を見事にアレンジして演奏する一方、オーソドックスな定番曲「テイク・ファイブ」や「シンング・シング・シング」で、スィング感たっぷりに演奏するその、音楽的柔軟性と幅の広さはMJOの魅力かも知れまい。

ところで、デビッド・マシューズは曲の合間のMCをすべて自分で日本語で話した。

「私は、NYのベルリッツで日本語を勉強しています。
郷に入っては、郷にしたがえ。
日本では日本語でしゃべるほうが正しいと思い、日本語で話しています」

と大変流暢な日本語で、拍手喝さい。

「シング・シング・シング」では、日本の映画なのに、「スウンング・ガールズ」おことにふれ、「私たちはスウィング・ボーイズ、いや違った、スウィングおじさんで、演奏します」

と笑いも取っていた。スィング感と、ホーン・セクション間のやりとり、かけあい、バトル。

間奏のドラムスの音もすすごい難しいノリをこなしながら、全体として豪快な演奏だった。

20分の休憩の後、後半の部が始まる。


7.ベイシー

4人のトロンボーン奏者が、別ユニットとしても活動している。そのユニットが、カウント・ベイシーの曲を豪快で、ちょっとおとぼけなかんじのトロンボーンでの演奏。

8.黒い炎

これまたMJOならではの選曲。シカゴの初期(「長い夜」など)、BS&T(ブレッド・スウェット&ティアーズなどとならぶ、ブラス・ロックの「チェイス」の曲をビッグ・バンドで。

ホーンセクションが爆発する。前半の部の演奏がおとなしかったかと、錯覚するぐらいすごい勢い。

また、各ホーン・セクションが炸裂して盛上がるさまは、すごい。特に、トランペットのセクションは、世界一のトランペット・セクションと言われているらしいが、ルー・ソロフが、ミュートや、吹き方、マイクの使い方で、そまざまな音色、音圧を表現するのも見事だが、4人同時に、高音を一挙にぶあ~と炸裂するのは、バンド全体の色彩を非常にカラフルに感じさせ、圧倒されっぱなし。

9.クリスマス・メドレー

季節がら、クリスマス曲のメドレー。誰でも知っている曲なので、おきゃくさんみんなが楽しめたと思う。

10.ゲストの登場

東京ユニオンというビッグバンドのリーダーだった高橋達也さん(だったはず)が、登場。1曲ビッグバンドをバックにテナーサックスのソロをろうろうと鳴らす。なかなかいい音色だと思うが、個人的には、強弱、緩急、静と動、炸裂、シャープネス、カラフルな色彩感を重視するMJOとは、違った感じのビッグバンドだったんじゃないかと想像する。

高橋さんは、自分達のレコーディングの時、デビッド・マシューズにアレンジをお願いし、見事なサウンドにかわっていった録音現場の話などをして、いかにデビッド・マシューズがアレンジの天才か、まるでマジックのように音楽が全然違ってキラメイていった様子を語る。

11.チキン

ジェームス・ブラウンの曲。ソウルフルにファンキーにオーケストラ全体が揺れ動く。素晴しい演奏。ウッド・ベースのソロも素晴しかった。

12.スイングしなけりゃ意味ないね

これも超有名な、デュークエリントンの作品。

MJOのサックス3人→トロンボーン4人→トランペット4人が、
ステージの前に順番にでてきて、それぞれのホーンセクションとしてのソロを展開する。

とくに、ルー・ソロフがトランペット・セクションの時、次はおまえ、つぎはおまえがソロをとれ、っといったような指示が、鋭い眼光で出されていたのは、迫力と素晴しい緊張感があって、最高だった。

やっぱりトランペットに代表される、シャープでカラフルなサウンドがMJOの魅力だろう。

これで、ステージは終わり。全員がステージの一番前まで出てきて、お辞儀。
客席からはスタンディング・オベーション。もちろん私は、真っ先に立って拍手した。

一度ステージを退場した彼らだが、アンコールの大拍手・声援にこたえて、再び全員、登場。

デビッド・マシューズが、今度は英語で、「世界でもっとも素晴しい日本のジャズ・ファンに感謝します」といって、アンコール曲を紹介。

曲が始まる前に、「ほら、これで私が英語もしゃべれることがわかったでしょう」と、また笑いをとる。

アンコールは驚愕の曲。

バッハの「トッカータとフーガ」

バッハをビッグバンドでやるとこうなります、という見事なアレンジと、予想も付かない展開の面白さ。

やっぱりすごいな、MJO。

朝、目覚ましになって、元気を出す時に聴くCDないですか、といっていたSさん。

映画「スウィングガールズ」を観て、オススメのビッグバンド・ジャズのオススメはないですかといっていた、Nさん。

マンハッタン・ジャズ・オーケストラの最新CD「バードランド」
超オススメです。

パスタのオススメ度: ☆☆☆☆☆





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最終更新日  2006年01月23日 20時33分48秒
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