では最初に、「生まれながらの人」 についてです。このことを聖書は 「眠っている状態 (a state of sleep)」と言いあらわしています。神は彼にたいして 「眠れる者よ、起きよ」と御声をかけられます。なぜなら彼の魂は深い眠りにおちいっているからです。その霊的感覚がめざめておらず、霊的な善も悪も識別できません。彼の理解力の目は閉じられており、封印されていて見ることができません。いつも雲と闇におおわれています。なぜなら彼は死の陰の谷のなかにいるからです。したがって、霊的な事柄に関する知識の入口がないので、彼の魂の道はことごとく閉ざされ、彼は自分が最も知りたいと思うことについて、粗野で愚かしい無知の状態にあるのです。彼は神に関してまったく無知で、神について知るべきことをなに一つ知りません。彼は神の律法とその真の内的・霊的意味についてまったくの門外漢です。彼は、それなしにはだれも神を見ることのできない、福音的聖潔 (evangelical holiness) について、また 「そのいのちが、キリストとともに神のうちに隠されている」 人だけが見いだすことのできる幸福について、なにも考えられません。