特許の思想体系

特許の思想体系

2006.02.15
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カテゴリ: 01 特許ゲーム
こんちくは。

2006.02.14 の続きです。


インクカートリッジの知財高裁判決 は、消尽論が適用できるか否かが大きな論点です。

消尽論の例外として、「第1類型」「第2類型」があります。

(第1類型)特許製品が製品としての本来の耐用期間を経過してその効用を終えた後に再使用又は再生利用がされた場合

そして、「特許製品が製品としての本来の耐用期間が経過してその効用を終えた場合」について2つ。

(a)当該製品の通常の用法の下において製品の部材が物理的に摩耗し,あるいはその成分が化学的に変化したなどの理由により当該製品の使用が実際に不可能となった場合

(b)物理的ないし化学的には複数回ないし長期間にわたっての使用が可能であるにもかかわらず保健衛生等の観点から使用回数ないし使用期間が限定されている製品(例えば,使い捨て注射器や服用薬など)にあっては,当該使用回数ないし使用期間を経たもの



 第1類型(a)について、


 特許製品につき,消耗部材(例えば,電気機器における電池やエアコンにおける集じんフィルターなど)や製品全体と比べて耐用期間の短い一部の部材(例えば,電気機器における電球や水中用機器における防水用パッキングなど)を交換し,あるいは損傷した一部の部材につき加工又は交換をしたとしても,当該製品の通常の用法の下における修理であると認められるときは,製品がその効用を終えたということはできない。

これに対し,当該製品の主要な部材に大規模な加工を施し又は交換したり,あるいは部材の大部分を交換したりする行為は,上記の意義における修理の域を超えて当該製品の耐用期間を不当に伸長するものというべきであるから,当該加工又は交換がされた時点で当該製品は効用を終えたものと解するのが相当である。

この場合において,当該加工又は交換が製品の通常の用法の下における修理に該当するかどうかは,当該部材が製品中において果たす機能,当該部品の耐用期間,加えられた加工の態様,程度,当該製品の機能,構造,材質,用途,使用形態,取引の実情等の事情を総合考慮して判断されるべきものである。

また,主要な部材であるか,大部分の部材であるかどうかは,特許発明を基準として技術的な観点から判断するのではなく,製品自体を基準として,当該部材の占める経済的な価値の重要性や量的割合の観点から判断すべきである。
----- ----- -----

消耗部材の交換は、「特許製品が製品としての本来の耐用期間が経過してその効用を終えた場合」とは言えません。

その製品の主要部材の交換は、「特許製品が製品としての本来の耐用期間が経過してその効用を終えた場合」とは言える。つまり、消尽論の適用の例外(侵害)です。「耐用期間を不当に伸長する」ことになるからです。

そして、「製品自体を基準として,当該部材の占める経済的な価値の重要性や量的割合の観点から判断」します。第2類型は特許発明が基準です(この点、何回か繰り返されています)。



キーワード 消尽論

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最終更新日  2006.03.16 13:16:03
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