テキーラ



テキーラは、竜舌蘭(リュウゼツラン)を発酵、蒸留したメキシコの酒です。
ただし、テキーラと名乗るためには、原料となる竜舌蘭の品種、生産地域など、法律で定められた決まりがありますので、そのことについては、テキーラの法的規制で説明します。


テキーラの歴史


メキシコに蒸留技術が伝えられたのは、16世紀になってこの地を占領、支配したスペイン人によってである、といわれています。

メキシコでは、アステカ文明時代から、竜舌蘭の一種、アガベ・アトロビレンス(Agave Atrovirens)の樹液を発酵させた、プルケ(Pulque)という酒が飲まれていました。このプルケを蒸留することによって誕生した酒は、メスカル(Mezcal)と呼ばれ、これがテキーラの始まりです。

テキーラ誕生についての逸話がありますので、ここで紹介しておきましょう。

18世紀半ば頃、テキーラ村にほど近いアマチタリヤの地で、大きな山火事があった。焼け跡には、黒こげになったマゲイ(竜舌蘭)がごろごろと転がっていた。あたり一面に漂う芳香を不思議に思った村人が、その一つを押しつぶしてみると、中からチョコレート色の汁が染み出してきた。そっと舐めてみると、上品な甘さがある。
スペイン人は、この汁を絞って、発酵させ、蒸留し、無色のスピリッツを作った。
その後、テキーラ蒸留工場は、良質のマゲイを求めてテキーラ村に至り、ここが、テキーラの本場となった。

テキーラの、近代的な蒸留が始まったのは、1775年といわれています。

1873年、テキーラ村から3樽のメスカル・ワインがニューメキシコに送られた、という課税記録があります。これにより、テキーラが初めてメキシコの国境を越えたのは、この時だったとされています。

その後、1893年シカゴで行われたワールド・フェアにはメスカル・ブランデーの名で出品され、1910年のサン・アントニオのリカー・ショーでは、テキーラ・ワインの名で入賞しています。そして、1968年のメキシコオリンピックにより、その存在が世界的に知られるようになったのです。

テキーラの法的規制


テキーラの原料に使われる竜舌蘭は、メキシコではマゲイ(Maguey、スペイン語起源)、あるいはアガベ(Agave)と呼んでいます。そして、酒の原料として使われるものは、大きく分けてアガベ・アメリカーナ(Agave Americana)、アガベ・アトロビレンス、アガベ・アスール・テキラーナ(Agave Azul Tequilana)の三つの品種になります。

この内、アガベ・アメリカーナ、アガベ・アトロビレンスは、醸造酒プルケの原料として使われる事が多く、アガベ・アスール・テキラーナが、テキーラの原料に使われます。

メキシコ政府の規制により、テキーラの原料となるアガベには、アガベ・アスール・テキラーナ以外を使用してはいけないことになっています。更に詳しくいうと、ハリスコ州テキーラ村を中心とした特定地域で栽培したアガベ・アスール・テキラーナを、特定地域で蒸留したものに限り、テキーラと称することが出来るのです。

1974年に法律で定められたテキーラの特定地域は、メキシコ西部のハリスコ州全域、ミチョアカン、ナヤリット両州の一部となっています。

アガベ・アスール・テキラーナ以外のアガベを蒸留した酒はメスカル、アガベ・アスール・テキラーナを原料に使っても、特定地域以外の場所で製品化したものはピノス(Pinos)という名称で販売されています。

ただし、テキーラには、アガベ・アスール・テキラーナ由来のアルコールを51%以上含めばよく、残りの49%以下は、砂糖由来のアルコールでもかまわないのです。

したがって、エラドゥーラ(Herradura)のように100%アガベ・アスール・テキラーナを使ったテキーラもあれば、砂糖を副材料に使ったテキーラもあります。

テキーラの製法


テキーラの原料に使われるアガベ・アスール・テキラーナは、ヒガンバナ科の常緑多年草で、生育に8年から10年かかります。
生育したら、葉を削ぎ落とし、パイナップルの実に似た直径70~80cmの株を掘り起こします。この株を半分に割ってから加圧釜に入れて、蒸し煮すると、株に含まれている多量のイヌリンが分解して果糖に変わります。それをローラーで破砕して搾汁し、タンクに入れて酵母を加え、発酵させます。
蒸留は、単式蒸留器で2回行われ、2回目の中留部分だけをとって、度数50~55度の蒸留液を得ます。これを、ステンレス・タンク、またはオーク樽に移します。

テキーラの種類


テキーラは、貯蔵、熟成の有無、程度によって、3つのタイプに分けられます。

ホワイト・テキーラ(White Tequila)


テキーラ・ブランコ(Tequila Blanco)、シルバー・テキーラとも呼ばれ、無色透明で、シャープな香りで、最もテキーラらしいテキーラ。本来はまったく熟成させませんが、3週間ほど樽貯蔵し、その後、活性炭の層に通して、無色、マイルドに精製したものもあります。

ゴールド・テキーラ(Gold Tequila)


テキーラ・レポサド(Tequila Reposado)、とも呼ばれます。蒸留後2ヶ月以上、樽熟成させるため薄黄色をしていて、わずかに樽材の香りを含みます。

テキーラ・アネホ(Tequila Anejo)


1年以上の樽貯蔵が法規で義務づけられています。テキーラらしい強靭さ、鋭い芳香は薄れて、まろやかな風味になっています。アネホとは、スペイン語で「古い」という意味です。




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