ルナ・ワールド

ルナ・ワールド

再会


どうして来ることを言ってくれなかったのだろう。
もちろんクールな彼は「一週間ぐらい前からいるけどフリーなのは今日だけ」といかにも軽く、でも慎重に言う。

そうか、会えない、ってことだね。
その薄茶色の瞳が大好きなの。
そのかわいい、小さめの鼻も。

どうして何も起らなかったんだろうね。
私が恐れて台無しにしたからなの?
好きでいてくれたんだよね?
それとも、それも私の勘違いだった?

私は好きだったよ。
大好きだった。

でも、私たちは住んでいる世界も、これから住もうと思っている世界も、自分をささげようと思っている世界も、全てが違いすぎて、その差を埋められるだけの自信が私にはなかった。

大好きだったのに。

他に遊んでいた人とのことを話して全てダメにした。

彼は私を女として見ていた。
そしてもちろん私も彼を男として見ていた。

一緒になっても熱さのぶつかり合いだけで終わると思った。
それにすぐ遠距離になってしまう。
狂おしく悶えるような、傷つくことも必須な恋愛をしたいのであれば、最高の相手だろうと思った。

でも今考えてみると、結果がどうなったって、ぶつかり合う価値はあったのだと思う。

どんなに好きだったのか今まで気付かなかったなんて・・・、なんだか今更、悔しい。

愛する人ができた今だから
自分に素直になれて、
結果的に終わったって愛する経験自体に価値がある、
ということが分かる。

でも、前は
安定した、自分の邪魔にならずに、基本的に自分に都合の良い関係、
というのが大人の恋愛で、恋愛感情やそれに似ただけの感情に振り回されるのは大人気ない、
と思っていた。

だから本気でも幸せな香りのしない恋愛はことごとく避けてきた。

結果的にはそれが間違っていたのかいなかったのかはわからない。
もう一生、分からないことだと思う。

でも大好きだった人に思いを伝えられなかったことだけは残念だ、と思う。
いつかはそれも伝えられる日が来るのだろうか。
わからない。

でも、これで私の青春は完全に終わりを告げた、とは思う。

(Friday 2004/03/12 Seoul)

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