イドラ~私的遍歴~

イドラ~私的遍歴~

2008.02.04
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カテゴリ: 詩的遍歴
尾形亀之助23
尾形亀之助23 (C)戸国梨太郎

「ね、---」
「何んだ」
「あなたあの方が好きなんでせう」
「好きだ」
「私よりも」
「あの方つて誰だ」
「ふざけないで。真面目なのだから」
「真面目なのか」
「ええ」
「いいね」
「ごまかさないで、ね、ほんとのことを返事して」
「はい」
「はいーーーなんておつしやるけど、私泣き出すかも知れないの、後ろをみればわかるわ」
「後ろは見たくない」
「私がゐるからなの」
「たぶんさうだ」
「あなたS子さんを嫌いだと言つて下さらない」
「誰れにだ」
「私に」
「言つた方がいいのか」
「言つて下さつた方がいいわ」
「ぢあ嫌ひだ」
「ぢあーーーつてどういふわけなの」
「それではーーーという意味だ」
「ぢあ、S子さんのどこがお嫌ひなの」
「眼と鼻と口と手と足と首と声と肩が嫌ひだ」
「好きなところはあとの全部なの」
「後、何が残つているのだ」
「髪も残つてゐるし、胸も頬も額も残つてゐますわ」
「ずい分残つてゐるんだな」
「まだ心臓も胃もあるわ」
「心臓も胃も言ふのか」
「見えないところは言わないの」
「言つてもいいさ」
「言つてちようだい」
「お前が今言つたのと脳と腸とーーー腸はまだだつたな」
「ええ」
「腸と、それから何んだらう」
「---もういいわ」
「・・・・・・・・」
「どうしたの」
「---もう用がないのだらう」
「あなたはご本を読みながら私と話してゐらつしやるんでせう」
「さうだ」
「今読んでなさるところに何が書いてあるの」
「エリナといふ女が結婚したところだ」
「・・・・・・・」
「・・・・・・・」
「私とあなたは結婚したんでせう」
「さうだ」
「私、したやうな覚えがないやうな気がするのーーー」
「で、どうしたんだ」
「あなたはどうなの」
「俺はぼんやりしてゐる」
「ね、---」
「何んだ」
「どうしてぼんやりしてゐなさるのーーー」
「あてて呉れ」

           つづく


どう?
最高だろう?
俺もこの手を使おう。
気まずくなったら・・・
「俺はぼんやりしてゐる」

ところでさあ~
これは
尾形亀之助と最初の妻森タケとの会話なのだろうか?
それとも

それとも
尾形亀之助自身の創作なのか?
俺は
芳本優との会話のような気がする・・・。

根拠?
森タケと結婚したのは22歳。
芳本優と同棲結婚したのが29歳なんだ。
男の雰囲気が22歳じゃないでしょう・・・
女性の台詞が女流詩人とは思えないが
女流詩人と付き合ったことがない
戸国梨太郎としては

こんな感じなのかと想像してるわけである。

昔
恋愛した(つきあったという言い方は嫌いなんだ)女が
すごくやきもちやきだったので
この男の気持ちは少し理解できる・・・

うるさいと思ったら寝たふりすると思う。
この男、
相手の女性の会話に読書しながらも
応対してるところがすごいよね。

でも
こんな
男女の会話って
若いときの会話だよね?
そんなことない!
と、今思った君!
そこの君!
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最終更新日  2008.02.04 22:46:29
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