イヌときどきネコ

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Mar 2, 2005
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まだ新米獣医師だった頃(未だ新米の域を出ないのかも知れないけど。。)

おばぁちゃんが真っ黒なネコを連れて病院にやってきました。
みるとその子の顔は血が混じった鼻水と目やにでグチョグチョでした。
まだ新米だった私にもひと目で「伝染性鼻気管炎」だとわかりました。
もしかしたらパルボも併発してたかも知れないけど、その時「ひと目」で判ったのは鼻気管炎です^^;
初めての患者さんだったので院長先生がカルテを作ります。
院長「だいぶ酷いですねぇ」
おばぁちゃん「えぇ。うちにはこの子ともう一匹いるんですけどね、真っ白な子なんですけど」

おばぁちゃん「その子は、そりゃもう元気で、シロちゃんもそうだけどこれまで病気らしい病気ってした事がないんですよ」
院長「えっと、シロちゃんのお話はまた後で。。まずこの子のお名前を教えてください」
おばぁちゃん「だから、シロちゃんです」
院長「え?真っ白なネコの名前じゃないんですか?」
おばぁちゃん「真っ白なほうはクロちゃんですよ?」
なんだか笑い話みたいですけど、本当にあったやりとりなんですよ。コレ
頭を抱えそうになってる院長先生を見て笑いを堪えながら、血液検査の準備してました。
院長「それじゃぁ。。。シロちゃんはいつ頃から症状が出てきたかわかりますか?」
おばぁちゃん「クロちゃんはとっても元気でねぇ」
今度は本当に頭を抱え込んでしまった院長先生を見て、思わず噴出してしまったのを覚えてます。
どうやらこのおばぁちゃん、かなり耳が遠かったようです。


グゥグゥ寝ているその身体に触れるまで気がつかないくらい、耳は役目を果たさなくなってました。
結局最後はフィラリア症で死んじゃいましたけどね。それでもまだ、確か12歳くらいだったと思います。
ちょうど、私が獣医の大学に通っていたある年の夏でした。
今でこそイヌの寿命は、おおよそですが15~16歳程度ですし、今時フィラリア症で死ぬ子はとても少なくなっています。
でも当時は12歳でも大往生の部類に入ってました。

今みたいに癌や心臓病にかかってる子はほとんど見かけませんでした。
逆に言うと、癌や心臓病が診断できなかったのと、高齢病であるそれらの病気にかかるほど「長生き」できなかったからだと思います。
気の遠くなるくらい昔、人間とイヌが初めて出会ってからつい最近(30~40年くらい前)まで、イヌの寿命はせいぜい6~8歳だったんです。
ほとんどの子がフィラリアにかかってました。
それが医療の爆発的な発達に伴ってフィラリア症が激減して寿命が大幅に伸びてきたんですね。(もちろん、それだけが原因じゃありません)
するとどういう事がこの子達の身体に起こったか・・
これまで何万年、何千万年という長い間、イヌの臓器は6年かその程度働ければ良かったわけですが、それが急にその2倍3倍もの期間働かされるようになったわけです。
当然、寿命は延びたものの身体の構造そのものが進化したわけじゃありませんから、あちこちに老朽化が進むわけです。
それが心臓病であり、癌なんだろうと思ってます。
癌はともかく、心臓病は一部の例外を除いて治る事はありません。一歩一歩、着実に死に向かっていく病気です。
新たに手に入れた「時間」の代償として、彼らの終末は突然の死から緩慢な死へと変化したわけです。
私はよく、初めて自分の子が心臓病にかかってしまったと知って嘆かれる飼い主さんにこのお話をします。
何ら、科学的根拠を持ってお話しているわけじゃありませんが、これが私が捉えている老化という現象なので、その事をゆっくりとお話します。
ひとたび心臓病が発見されたら、そこからの私の役目は「いかにこの子を苦しませないか」に集中されていきます。
自分の愛犬が苦しんでる姿ほど、飼い主さんを苦しめるものはないですから。
そうして少しずつ、私も飼い主さんも心の準備をしていきます。
私が常に心がけるのは、最後の時に望んで飼い主さんに「精一杯やってあげれた」と思ってもらえるにはどうすれば良いかという事です。
今は昔と違って「ある日突然」の別れはうんと少なくなりましたから、それが可能だと思っています。

昔、先にお話したビビにもマリーという名前の小さなお嫁さんがいました。
まだ生後1年ちょっとで、やっとお嬢さんっぽくなってきた頃でした。
私が最初の大学に合格して下宿先へ旅立つ前の晩に、マリーがいつになく甘えてきたのを今でも鮮明に思い出します。
とっても不器用な子で、普段は「撫でろ」と掌に頭を押し付けてくるんですが、押し付けすぎていつも手を払いのけてしまうんです。
それがその時だけは何故か、そっと私の手の上に頭をのせたままじっとしていました。
とても不思議でしたが、かなり長いことそうしていたのを覚えています。
ビビも、普段はやきもちを焼いて割り込んでくるんですが、その時は少し離れたところに座ったままじっと私達を見てました。
それから3日後、下宿先で荷物を解く暇もなくマリーの急死を知りました。
急性フィラリア症でした。
私は結局、その大学にはいかずに1年浪人して、獣医の道に入りました。
今でも私には、診察台の上の子達にビビやマリーの面影を見ます。
私の掌には、そっと乗せられたマリーの頭の感触が今でも残っています。
生まれて間もない、やんちゃな子犬を診察する時でさえ、その先にビビやマリーの面影を通してその子の「死」を頭のどこかで考えてしまう、私はやっぱり変な獣医ですね^^;

うーん。一回目にえらく重い話を持ってきてしまいました。。
この先どうしよう・・・
ま、思いついた事をまた、思いついた時に書いていきます。






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Last updated  Mar 2, 2005 07:18:55 PM
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