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Jun 15, 2005
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テーマ: ハムスター(1886)
カテゴリ: カテゴリ未分類
ちょっと今回は趣向を変えてハムスターのお話。

ハムスターの治療をする時、特に湿性の皮膚病の時などは診察の大半が飼い方の説明で終わります。
良い飼い方というよりも、皮膚病の時に注意する事。といった感じでしょうか。
そして、特殊な細菌感染やアレルギーによる皮膚病でない限りは、薬とか使わずに飼い方を変えて頂くだけでみるみると良くなる事が多いですね。
ハムスターの湿性皮膚炎の場合はほとんどが細菌感染が症状を重くしていますが、細菌自体はいわゆる一般細菌であることが多く、衛生管理だけでも効果を出せる事があるからです。
逆にどんな投薬治療を行っても、衛生管理がしっかりしていなければ、一度治まったとしてもすぐに再発してしまう事があります。
これを繰り返すと、いずれ耐性菌の出現を促してしまい、難治性皮膚炎になってしまう可能性もあります。
要はいかに細菌の繁殖を抑えるかがカギになるわけですが、これには薬剤のみに頼った方法では限界があるということです。

だいたい、現在日本で好んで飼育されているのは第一位がジャンガリアン・ハムスター、次にゴールデン・ハムスターでしょうか?

実はジャンガリアンではなく、キャンベルハムスターだったりする子もいるかもですが、判別はほとんど不可能で、一般にキャンベルのほうが体毛の色が薄めで性格は多少荒いそうですがそれにも個体差がありますし、特に飼い方などに大きな差もないので気にしない事にしています。
(また、獣医師としてそれで良いのかと自問自答・・)
ゴールデンハムスターは、元々は今政情不安定な中近東あたりの出身で、ジャンガリアンハムスターやキャンベルハムスターはアジア内陸部の、わりと標高が高い地域に分布していたそうです。
どちらも乾燥した風土・気候に合わせて進化してきた種族なんですね。
なので、基本的には「ハムスターは湿気を嫌い(弱い)乾燥に強い動物」なんです。
(だからと言って、2~3日飲み水を切らしてても大丈夫!という事ではないですよ)
また彼らは元々、穴を掘って温度や湿度の変化が少ない涼しい所で暮らしていましたから、決して暑さに強いわけでもないです。
むしろ、温度変化にも極端に弱い動物ですね。
暑い真夏日には簡単に熱中症になりますし、寒い冬場には低体温症になったり冬眠してしまったりもします。
冬眠してしまう限界温度は4~5℃だそうで、室温が10℃を下回ると極端に動きが鈍くなります。
最適な室温は18℃~26℃と言われていて、真夏日などに室温が34℃を超えるような場合は、例えそれが短時間であっても熱中症にかかってしまう恐れがあるそうです。

なので、元々清潔好きな動物なんですね。

これでだいたい、ハムスターにとっての理想の環境というものが見えてくると思います。
湿気がなくて、暑くもなく寒くもない清潔な環境 という事ですね。
加えて言えば環境の明暗サイクルにも敏感で、夜中遅くまでいつも明るかったり、昼間寝てるとは言っても四六時中薄暗いところだとストレスが溜まってしまうそうです。
皮膚病で診察を受けに来られる方には、いつも普段飼育しているケージを持参してもらってますが、ほとんどの場合はこの湿気と清潔という項目でひっかかります。

そして、肝心のハムスターの皮膚病の様子がじっとりとしていて赤くただれている場合など、ますます湿気はご法度という事になります。

まずケージですが、全面プラスチック製のものならあまり背が高くなく、脱出防止用に上面に網をかけてあれば、あとは風通しの良いところに置くなどして湿度と温度に気をつけてもらえば大丈夫だと思います。
湿度管理と言う点では、理想は横面が金網状のケージが良いのですが、これにはまた別の問題があって、金網を齧ることで歯を痛めてしまったり、間に足を挟んでケガをする事もあります。
最近のハムスター用のケージでは、安全対策にも気を配っている物も多くみられるので、もしも新しく購入されるならハムスター専用の、平屋構造?で、取り出し口が上面についていてしっかりとロックができるもの、金網の接合がしっかりしている物、床面はプラスチック製で巣材の飛散をある程度抑えれる構造になっていて且つ金網が敷かれていないものを選びます。

次に巣材ですが、なるべく吸湿性の高いものを選びます。
ウッドチップなどは材質によってはアレルギーを引き起こしたり、すでに皮膚病が酷い場合には炎症を起こしている部分をチクチクと刺激して、余計に症状が悪化する事もあります。
一般的に松材や杉材は、アレルギーを起こす可能性があるので避けた方が良いそうです。
また、牧草系の巣材はアレルギー性が低く、良質な巣材になるようです。
他にも、最近ではトウモロコシの芯を使った巣材なども登場しているようですが、後述の理由で少なくとも湿性の皮膚病の場合にはあまり値段の張るものは避けた方が良いでしょう。
古着など布製のものは、たぶん稀なケースだと思いますが、一度だけ歯に糸くずが引っかかっていて、本体の布切れがそれに繋がったまま頬袋の中に詰め込まれていた事があります。
また、素材にもよるのでしょうが布切れは思ったほど吸湿性は高くないようです。
では、何がいいのか?
私が知る中で、安価で、刺激やアレルギーなどの問題が少なくて、優れた吸湿性を持つ巣材として湿性の皮膚病の子に勧めているのはキッチンペーパー(縦に裂けるもの)やトイレットペーパーです。
もちろんこれも、長期的に使っていると材質に含まれている化学物質の影響も、ないとは言い切れませんが。
今までにそういった中毒などのトラブルは経験していません。
キッチンペーパーの場合は厚みもあり、程よいボリュームがあるために冬場などはトイレットペーパーよりも巣材として適しています。
しかし、飲み込んだら・・という心配をされる方には、トイレットペーパーの場合は多くが水溶性のために、万一飲み込んでもさほど問題はないでしょう。

次に巣箱ですが、できればこれもアレルギー性が低く通気性や吸湿性の高いものが良いです。
なのでプラスチック製のものはNGですね。
木材の巣箱で、特に屋根が外れるものだと巣箱のお掃除が楽に、しかもきれいにできます。
皮膚病を患っている時の管理は、できるだけ毎朝掃除してもらうようにして、ケージ内の巣材全てと、せっせと巣箱に溜め込んだエサを全て捨ててもらうよう勧めてますから、できれば二つほど用意してあると、中身を捨てた後は手ぼうきなどで細かいゴミを落とした後、風通しの良いところに干しておけば十分です。
せっかく整えた寝床をまた作り直さなきゃなので、この子達にはちょっとかわいそうですけどね。
湿性の皮膚病の場合は少なからず雑菌が繁殖していて、それがさらに症状を酷くしている原因になってますから、治療中はこの子達がいつも触れる部分は常に汚染されていると考えた方が良いので、この子達が受けるストレスを差し引いても清潔にする事を優先すべきと考えるからです。
もちろん食べ物も毎日全て取り替えます。
※なんでもない時のお掃除は、トイレなどで汚れた部分はできれば毎日、巣箱の中は1週間に1~2回程度、ケージ本体などは月に1回程度で良いと思います。

あと、飲み水は常に飲めるように、新鮮な水を用意します。
ケージが金網製のものでひっくり返す心配がなければトレイ式のものでも構いませんが、できれば飲水ボトルのほうが良いでしょう。
ただし、水漏れのあるものは言うまでも無くNGです。
また、これは皮膚病には直接関係ありませんが、ボトルを長く使っていると金具の内部に水カビが生える事があって、稀におなかを壊す子がいるので、年に数回は煮沸消毒した方が良いです。

あとはおもちゃ類ですが、回し車などで良く遊ぶ子にはやはり与えてあげたいですね。
ただし、溝があって足を挟む恐れのあるものはNGですし、太りすぎている子には(皮膚病の子の大半が歩いててもおなかをずってますが)床面に突起がなく、炎症を起こしているおなかを擦りにくいものの方が良いようです。
また、元々がトンネルに住んでいただけあって、よくプラスチック製や金網製のトンネルを付けている方がいらっしゃいますが、通気が悪く掃除しにくいプラスチック製のものは当然NGですし、金網製のものも足を挟みそうなものは避けた方がいいでしょう。
どうしてもと言う方には、私はトイレットペーパーの芯を床に置いておくようお勧めしています。
暗くて狭いというところを気に入ってくれる子も多いですね。
汚れたら捨てれば良いですし。

環境改善をお願いしてから最初の1~2週間で、ほとんどのケースで症状が回復していきますが、完全に治るまでには、程度にもよりますが、おおよそ1ヶ月半程度はかかります。
また初診の際に、あまりに痒みがひどくて自咬症が見られたり膿皮症を起こしている場合は抗生物質や、症状によってはさらに炎症止め用に非ステロイド系抗炎症剤などを飲み薬として出す事もあります。
私は抗生剤兼ベースとしてクロラムフェニコールという抗生剤を使った「クロマイ・パルミテート液」と言う経口用抗生剤を使いますが、これは甘くてバニラ風味なせいか催促する子もいるらしく、治った後でも貰えないかと尋ねられる事があります。
もちろん、いつまでも抗生剤など飲み続けて良いわけはありませんから、他の物を代わりにしてもらうようお話しますけどね。

厳禁なのが塗り薬です。
ハムスターは皮膚や毛がベタベタしている事を非常に嫌いますから、塗り薬を付けると舐めたり噛んだりしてさらに症状をひどくする事もあります。

以上が湿性の皮膚病の子の治療法になりますが、いくら病気を治すためだと言っても急に環境が変わるとそのせいで具合を悪くする事もありますから、無理に全て新品に買い変えるよりも、今使っているもので工夫次第で使える物はそのまま使ってもらっても良いでしょう。
例えばケージについても、プラスチック製で湿度管理ができるか心配な場合でも、風通しの良いところに置くか、扇風機の風がケージの上を通るようにする事で湿気をある程度抑える事もできます。

最後に、皮膚病が細菌性のものなのかアレルギーなのか、はたまたもっと別の原因があるのかはなかなか判断が難しいと思いますから、できればハムスターに詳しい獣医さんを念のため一人キープしておくと良いと思います。
例えば実際に皮膚病を患っている子に衛生管理を徹底してみたとして、1週間経っても効果を感じられない場合は抗生剤などの併用が必要な事もありますからその場合はかかりつけの獣医さんに診て頂いたほうが良いです。
また、実際に薬剤治療を受けているけどなかなか治りが悪いという方がいらっしゃれば、一度その子を取巻く環境の衛生状況をチェックしてみるといいでしょう。





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Last updated  Jun 16, 2005 03:54:24 AM
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