プロヴァンス・ダジュールへようこそ

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お熱いのは苦手?

フランスの真実
La france en vrai





お熱いのは苦手?

フランス人の女の子とラーメン屋へ行った時のこと。
運ばれてきた熱々のラーメンに飛びつく私と、それを眺める彼女。
「あれ?食べないの?」
「熱そうだから冷めるのを待ってるの」

マミー宅で昼食会があった時のこと。
食事が始まる直前にオーブンからその日のメイン料理であるグラタンを出している。
「食べる時にちょうど良い温度になるでしょう」とマミー。
「えっ、熱々のほうが美味しいのに」と心の中で私。

フランス人はどうやらお熱いのが苦手?

もともとフランス料理とは宮廷料理が始まりで、フランス革命により王制が破綻、
職を失った料理人たちが町に流れたのが由来。
宮廷料理全盛の頃には、広い宮殿では作ってから食堂に運ばれるまで相当時間がかかったらしく、
口にする頃にはすっかり冷めきっていたとか。

その名残かフランス人の食卓は、「ぬるい」の一言。

朝の紅茶はお湯が沸騰する前に火を止めてしまうし、
夕食のメインのオーブン料理なんかも食事が始まる前にオーブンの火を消してしまう。
寒い夜の熱々のスープなんて、体を温めるには一番!なのに、やっぱりこれもぬるい。

では熱々の料理を出すと?
驚いたことに非難の嵐が!
「こんなの食べられないじゃない!」とアメリカのマクドナルドあつあつコーヒー裁判を地で行く勢いです。
*あつあつのコーヒーを出されて飲んだ客が火傷をし、その責任は店側にある、と訴えたもので原告が勝った。

しかし「お熱いのが苦手」な感覚は舌だけにとどまらず、
私が適温でシャワーを浴びた後にフランス人がシャワーを浴びると、
悲鳴の後に
「こんな熱湯でシャワーを浴びるなんて!」
と続きます。
熱湯ってあなた…。

夏の海水浴でもフランス人の皆が
「気持ち良い~!!早くおいで!」
というので片足を入れたら、
「つっ、つべたい~~!!」
なんてことに。

フランスには熱いどころかお湯にさえつかる習慣が無いのでカラスの行水で入浴を済ませます。
タンク貯水式給湯器の温度設定も「60℃で十分」だそうで、
常時利用できるガス給湯器になると40℃に設定されている家庭もあるほどです。

そして地理的に言えば南仏は日本の北海道と同じ緯度上に位置するので
日本人よりも寒さに慣れていることも忘れてはいけません。

それにしても熱々の麺類をふうふう言いながら食べる幸福感や、
あったか~い湯船にゆったりつかる至福の時を知らないなんて、なんだか損した気分、と思ってしまいます。




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