世界の中心に愛をさけびに行った猫

世界の中心に愛をさけびに行った猫

世界の中心で愛をさけぶレビュー

「助けてください!!」

朔太郎が叫んだのは、そこに居る人たちに助けを求めたわけではなかったんです。

朔太郎が亜紀の命を助けて欲しいと、天に向けた叫びだったんです。

朔と亜紀

高校生の朔と亜紀が、夏から秋にかけてたった3ヶ月の中で、
駆け抜けるように刻んだ思い出です。

夏の終わりに夢島で倒れてから白血病であることが分った亜紀。
その闘病中にも、何度となく交わされたお互いの声の交換日記のカセットテープ。
でも、もうこれ以上自分の命は無いと悟った亜紀は「さようならのテープ」を吹き込み、いつも病室に遊びに来る女の子に託します。

その少女はいつものように、テープを持ち、台風の迫る雨の中、朔の居る高校へ・・・・・、病院を出た交差点で交通事故にあい、そのテープは届かぬままに。

そして、その亜紀の死んだ姿を見せてもらえないまま、大人になっても亜紀の死を受け入られず、苦しむ朔。
今の恋人律子は、あのテープを届けていた少女だったんです。

律子が結婚のため押入れを片付けていると、ダンボール箱のなかからカセットテープが。
そのテープがいかに大切なものだったかを知り、渡さなくてはいけなかった人へ届けるため、四国へと旅立ちます。
渡すべく人が自分の恋人、朔太郎だとは夢にも知らず。

また、そんなこととは知らない朔は、その行動に、不信を抱き追いかけるように故郷へ。

でも、そこは亜紀の死をいまだ受け入れることが出来ない、悲しい場所。

そして、亜紀との思い出をなぞる帰郷となるのです。


写真館に先に訪れた律子が目にする真実は。

朔太郎と一緒に写ったウエディングドレスの亜紀。

今始めてあの日に亜紀が死んでいたこと。
テープを渡す相手が朔だったこと。
そして大切な最後の約束を奪ってしまったことを悲しみます。

そして、すれ違いにやってくる朔太郎。
朔もいつまでも亜紀の死を受け入れることが出来ないまま、
大きな喪失質感を抱え、行き場の無い悲しみに、
人を真剣に愛せなくなってしまっている自分が、
結婚しようとしている律子。
亜紀への気持ちの整理が出来ない限り、
律子を心から愛せない自分を責めます。

しかし、その写真館の重蔵じいさんに
「残ったものは後始末をするために居るんだ」と言われ。
ポケットに入っている、小瓶の中の亜紀の“灰”を思うのでした。


今度は律子を追いかけ、再び台風の迫る中をタクシーに飛び乗ります。
くしくもウルルへ行こうと言って、台風の中向かった、
亜紀の命を縮めることとなってしまった、あの空港へ。

そこに居た律子は、朔にテープを渡し、そしてあの時の少女が自分だったことを告げます。


その二人が、亜紀の灰を撒くべく、亜紀が見たかったウルルへと向かいます。
亜紀の思いが今始めて叶う時が。

赤茶の大地ウルルに立ち、そしてガラスの小瓶から出された、白い灰の亜紀。

手のひらに乗せると、それはふと吹いた一陣の風にのり、
空高く舞い上がった・・・



世界の中心は、大地のへそと言われる聖なる地、ウルル。

でも、本当の世界の中心は、愛する人が居る場所なんです。


このレビューは本当は昨年この日記を立ち上げた直後に書いていなくてはいけないものでした。
なぜならここのタイトルは「セカチュー」に由来して付けています。
しかし、何故か書くことが出来ないままでした。

でも、1年以上あけて再び見た感動は、より深いものになっていました。
平井堅の「瞳をとじて」がエンディングでかかる時は泣きそうでした。

久しぶりに感動を味わうことが出来、レビューが書けたこと良かったと思っています。

亜紀

                        ☆☆☆2005/9/30 記☆☆☆


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