★サンチャゴ巡礼日記

★サンチャゴ巡礼日記

2004年10月27日
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カテゴリ: サンチャゴ巡礼2004
■第8日 サリア~ポルトマリン 23km

去年、おととし、そして今年の前半も、「前後に巡礼者の人影が見えない」というときがしょっちゅうあった。
そんなときは「この地球上に存在するのはわたしひとりだけ」とでもいうような、とても不思議な感覚におそわれる。

それがどうだろう。
サリアを出ると前後には必ず巡礼者の姿が見える。
ときには「列をなす」こともあるほどだ。

サリアからの道は田園のなかをゆく。
道も歩きやすい。
気持ちのよい田舎道である。


さらに短くというのならセブレイロ~サンチャゴ間の150km。
もっとというのなら、えーい、サリア~サンチャゴ間111kmを4日間でどうだろう。

途中で追い抜いたおじさんに「どこから来たの?」と声をかけられた。
その人はブラジル人。
少し話しながら歩く。

「日本でカミーノは有名なの?」
「いいえ。
わたしはパウロ・コエーリョの本の影響を受けました」
「わたしはあの種の本が嫌いなんだ。
だからパウロ・コエーリョの本も読んでないよ。
あの本(『星の巡礼』)に書いてあることは、すべてが本当にあったことというわけではないからね」


しかしパウロ・コエーリョの本がサンチャゴ巡礼路の活況に一役買っていることはまちがいない。
『星の巡礼』が置かれた巡礼宿もあったし、サリアのツーリスト・インフォメーションではパウロの本とDVDを売っていた。

ポルトマリンには12時40分到着。
巡礼宿の前にはすでに巡礼者の列ができ、13時の開館を待っている。
やがてホスピタレーロが「ブエノス・ディア~ス!(こんにちは)」と登場し、受け付けが始まった。


見知った人とはあいさつをかわす。
それがまたうれしい。

夕方、町をブラブラしていてまたヘンクさんと出くわした。
「あしたのルートを確認に行こう」
そういって町から出る道を2人で確かめにいった。

ヘンクさんはビールを、わたしはオレンジジュースを飲みながらバルで話した。
すでに仕事は退職している。
年は聞かなかったが、60歳は超えているだろう。

「どうしてカミーノを歩こうと思ったんですか?」
「スポーツとして、あるいは文化的興味からという人もいるが、わたしはそうではない。
わたしはカトリックだけれど、宗教的な理由だけでもない。
人生で大事なことを確かめるため、とでもいったらいいのだろうか」

サンチャゴには奥さんがキャンピングカーで迎えにきてくれるのだという。
そのあと2人でスペイン、フランスを見物しながら11月に家へ帰るのだとヘンクさんはいった。
なんと優雅な!

ドイツ語の巡礼ガイドブックに興味を示すわたしにヘンクさんがいう。
「サンチャゴに着いたらあげるよ。
それまでは使うからあげられないけど」
「本当ですか?
ありがとうございます!」

宿に帰る道すがら、空に黒い雲が出ているのが見えた。
「あしたも晴れてほしいね」
ヘンクさんがそうつぶやいた。

ポルトマリン

ポルトマリンの橋

▲ポルトマリン。巡礼者の数はサリアよりさらに増える。





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最終更新日  2012年03月21日 11時28分42秒 コメント(2) | コメントを書く
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