日本語はダメか2

日本語はダメか2

2008.01.03
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ハート
 こちらは庭で木々に培養土を盛っていた。どれにも声をかけたが、特に牡丹、芍薬の声援を送った。昨年はほとんど咲いてくれなかった。(「芍薬」と入れようとして「借家国」が出てきた。面白いから残しておこう)。
「成田山に行って来た」赤い顔のKが言う。二重マントに身を包んでいる。微かなアルコールの匂い。黄色い地に梅と鶯の着物を着たQの顔もどことなく上気している手書きハート。春の香り、とでも言ったらいいのだろうか。ゴボウ巻き、などという言葉を思い出しかけた自分に鞭打った。
 そこはかとなく羨ましく思う気持ちは抑えきれなかった。チクショウとさえ思った。だが、劣情とともに、こうして仲のいい女と男を見ることはこちらまでいい気持になる。二人から漂い出てくるものが濃い。Kが差し出した浜松のウナギ、Qが差し出した菜の花の蜂蜜へ礼を言うのも忘れて、二人をちらと見てから目をつむってその気配に酔った。
「ま、なんだな、そこらじゅう善男善女だらけと言ったところだな」

「いやー、商店やお寺さんにとってはお金を落として行ってくれる素直な鴨ってもんだろう、カモ、カモンってな」
「おお、さむ。が、相変わらずだな、今年も」
「いやあ、おれは何も変わっていないさ、昨日の次の今日でしかない、新年だの旧年だのとどうでもいい」
「まあな」
「まあ、こんなときだな、おれは縄文人だった、渡来人だった、などという妄想に駆られるのは。おれの中にはどんな血が流れてるんだろう、おれの先祖は山賊だった、海族だった、などと思うんだな」
 言いながらこちらの手を取っった。二重マントの中から出てきたのは『百年の孤独』だった。
 切なくなった。思わずKを、いやQを抱きしめたくなった。だめだダメだダメだ、目の前に飛び出しているような自分の赤い心を歯をくいしばって抑え込んだ



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最終更新日  2008.01.03 12:41:33 コメント(3) | コメントを書く


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