日本語はダメか2

日本語はダメか2

2008.12.25
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 こうしてキケロもアレキサンダーも豊臣秀吉も芥川龍之介も菊池寛も竹内紀吉も小川国夫も松島健碁も片岡秀浩も飯島愛もいなくなった。
 やがて、自分。やがて、君。やがてあんた。やがておまえ。

 戦乱や病死や強殺や縊死でないのが、せめてもの残りし者への挨拶。別れの辞。

 だが、女の贈る言葉は怖い。歌手の名前は言えないが、ある作家の葬儀で「あたしのからだが覚えています」と挨拶。


 夕方、例の学生が訪れた。シャツ一枚だけ、靴下も履いていない。甘酒を温めて出した。人生で初めて呑んだ、という。忙しい呑み方。

「九ちゃんと喋っているのかと思ったら……。あなた、どなた」
 家へ入れるのではなかったか、と一瞬、おびえた。だが機嫌は悪くはなかった。
「えー、あの山本君? どうしたの。全然違っている人みたいね」
 出されたコーヒーをがぶがぶ飲んだ。忙しすぎる。間合いが全くない!
 一種の危険を感じた。目が死んでいる、ほとんど喋らない、髪はぼさぼさ、爪は真っ黒。
 会社には行っているが、まだ日数が足りなくて月給は貰っていない……。
 一ヶ月前に父が死んだ。59歳。大腸ガン。入院して二週間。

 家ではしようがない、と思った。彼も呑みたい、と言った。何より、ぼさぼさの髪に0.数秒ごとに手をやる。膝の上にフケが貯まっていくのが見えた。
 駅まで歩いた。寒い風。返さなくても良いよ、と出したジャンパーを着て、オレンジの靴下を履いている。

 瓶ビールを三本飲んだ。大盛りの焼きそばを食べた。付け出しを二人前口に運んだ。ビールを呑むのも早かった。
 促されて歌った。「its true love」

 道々、26歳が喋った、「カノジョが欲しい」
 2曲とも「愛を捧げる歌」だった。


 トイレからなかなか出てこなかった。

 盛大に吐いていた。

 一度店を出た。タクシーに乗ろうとした。「君を自転車をおいてある我が家まで送って、そのまま、店へ戻るから」
 久しぶりに「東大君」が来ていた。こちらはもう少し呑みたかった。「30分待っています」とホリさんが言った。

 駅の階段を下りてタクシー乗り場に向かった。山本君が言った、「ボクも店へ戻ります」
 もっといたい、とも言った。
 再び店へ。ホリさんが、メドレーの童謡を歌っていた。ヨウスケもカウンターに座っていた。
 山本君にマイクが回った。「仰げば尊し」だった。
「知りません」と彼は言った。沈黙が流れた。



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最終更新日  2008.12.25 23:56:11 コメントを書く


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