日本語はダメか2

日本語はダメか2

2010.02.16
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カテゴリ: 礼儀 挨拶 連絡

スマイル小樽の女流作家からひさしぶりの電話が入った。

 りんと鳴った。二階の家人が受けた。
 かなり時間が経った。「はい」と子機を持って階段を下りてきた。

「ご無沙汰しております。よいご報告がなかなか出来なくて申し訳ありません」

ぽっ色々喋っただろう後に、また同じことを繰り返すのは大変だろうなあと相手を思いやった。
 彼女の話は長かった。

「立松和平さんが亡くなってお力を落としているのではないか、と少し心配で……」


 昔のことだ、大昔のこと。
 心配ご無用。
 死者をいっぱい送って、こころはどこか乾いてしまっている。
 中上健次、奥野健男、吉行淳之介、安部公房、埴谷雄高、小川国夫、畑山博、森瑤子……。
 片岡、能登谷、竹内、弟、父……。
 月は沈み、陽は昇る。
 ここにいる自分。
 小川のほとりで語り合う相手もいる。

「離婚することになって……。先ほどは奥様には申し上げませんでしたが。
 家はもらいましたが、単行本、文庫本合わせて300万円くらいしかない年収、健康保険が……。癌が見つかったのですが……」


「今度、トルコに行くことになりました」

 一昨年、彼女の作品がある劇団で上演された。文部科学省の芸術祭新人賞をもらった。それが今度、トルコで上演されることになった、と言うのだ。劇団から、先生もご一緒に、と誘われたらしい。

 いい話ではないか、と思った。だが、彼女が話したいことは別にあった。

「ゲラにまでなったあたしの連載原稿が掲載中止になってしまって。Sさんが50~60枚も長く書いてしまって、それであたしがはじき出されて……」

 なんであたしが、なんであたしの原稿が……。


怒ってる「連載の最終章なんです。それで単行本になる予定がずれてしまうんです。8月9月に出ても、直木賞には引っかかりにくい」
「直木賞を取った佐々木Jさんの本を読んだけれど、いっこうに面白くない」
「あたしの作品が劣っているとは思えない」
「Mさん(当方のこと)から教えて頂いたこと、箇条書きにして、パソコンの近くに貼ってあるんです。『、』一つの大事なこと、今も守って」

怒ってる Sなんか追い越してやる、二度とこんな屈辱を味わいたくない、運も味方になっていない、暫く書けなかった……。

 彼女は笑った。泣いた。

泣き笑いが静まった。

「絶対いいご報告をしますから、お元気でいてくださいね。その時はハグしてくださいね、奥様もハグしてくださるでしょうね」 

 ほとんど口を挟むことはなかった。
 受け皿のM。

「安井賞を絶対とる」と言っていたNさん、元気で描いているか。

 重苦しいお天気。

 陽よ、昇れ。



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最終更新日  2010.02.16 10:05:28 コメントを書く


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