日本語はダメか2

日本語はダメか2

2010.03.26
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 私は、一応日本語を勉強して生きているから、男の言葉の断片から、彼が言おうとしていることを察知した。
 おう。らら。
 言おうとすることがベロに追いつかないと、ヒトはおめくものであろうか。

 うう、るる……。
 男は何か言おうとしていた。

 私は、一応日本語を勉強している身分だから、そして、蓄膿の手術を二回したから、却って男の言おうとしていることを察知することが出来た。2010/3/26 優れた裁判官・検察官には無理かも知れぬ。

 辛い辛い辛い。聞くのも辛い。書き記すのも辛い。

「女ごときに」……そう男は言った。「どこで誰と何を、なんて、新聞記者のなり始めじゃないんだ、いくつかのWといくつかのHなんて、家の玄関を開けた途端のおらにどうして言うんだ、北のまん○どころ」

「ふん、女ごときにおらが生きているその根っこまで触れられたくねえ」
「しかもだよ、どこかから借りてきたような言い回しで、おらの生き方をアシザマに言う。『あんた、あたしを無視して生きて行けるくらいそんなに偉いの?』とかさ」
「ふんだ、おら、ヤリタクてヤッタだけなのに、それを『愛』って信じこんだ馬鹿ニョウボに、これ以上のこと、言いたくもねえ」

 男の言語はかなり濁っていた。だけれど、何か伝達しようとしているらしいことは分かった。
 こちら、一応、日本語を追求しているから、男のだみ声を断片的ながら聞き取り、そしてこうやって再生出来ている。

「右顧左眄して生きている女ごときにおらのほんとが分かるのか、おら」
 男がまた吠えた。

 女性側からすれば、男ごときが何をホザクとなるだろう。私は女性上位主義者だ。

 日本語の探求者の端くれとして、バスの中の酔っぱらいらしい男の感想を、とりあえず忠実に追いかけようとしている。

「ヤラセ上手ってさ、ある時までだあね、そりゃ、男はタマルからよ、ダシたくなる、それを、アッチは、アッチのこと好き、と勘違いする。こりゃ、神の仕掛けさ、仕業さ。勘違いしないと、人類が滅びてしまうからな」

 バスの運転手が男の肩を叩いた。バスは走ったままだった。

「おう、運ちゃん、おい、雲助、平等社会の一員、表面平等社会の恵まれ者さん、おらも290円払ってこの御バスに乗ってるだよ、めぎめぎ、南ア(原文のまま)、文句あっか」
 男は立ち上がっていた。「女ごときが、おらが会社へ行っているその本質についてどこまで分かっているのか」
「あんたの親の顔が見たい、だって? 偉そうに。中途半端の日本語を使うな、おらの親の顔は見てるじゃねえか、それをよ、何だ、型にはまったその言いぐさ」

 私は下車しなければならなかった。家へ帰りたくないけれど、男に付き合っていたかったけれど、ヨコになって眠らなければならなかった。





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最終更新日  2010.03.27 04:11:40 コメントを書く


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