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2010.08.01
「感情語」と「肉体語」。『ごん狐』の最後のシーン。
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カテゴリ未分類
皆さんご存じの『ごん狐』について今日は大発見があった。
問題は、最後のシーンの書き方である。
その前にあらすじは……。念のため。
両親のいない小狐ごんは村へ出てきては悪戯ばかりして村人を困らせていた。
ある日ごんは兵十が川で魚を捕っているのを見つけ、兵十が捕った魚やウナギを逃してしまった。
それから十日ほど後、兵十の母親の葬列を見たごんは、あのとき逃がしたウナギは兵十が病気の母親のために用意していたものだと悟り、後悔する。
ごんは、ウナギを逃がした償いのつもりで、鰯を盗んで兵十の家に投げ込む。
ごんは自分の力で償いをはじめる。
しかし兵十は毎日届けられる栗や松茸の意味が判らず、加助の助言で神様のおかげだと思い込むようになってしまう。それを聞いてごんは寂しくなる。
その翌日、ごんが家に忍び込んだ気配に気づいた兵十は、またいたずらに来たのだと思い、ごんを撃ってしまう。
ごんに駆け寄ると、土間に栗が固めて置いてあったのが兵十の目に留まり、はじめて、栗や松茸がごんのお詫びだったことに気づく。
「ごん、おまい(おまえ)だったのか。いつも、栗をくれたのは。」と問いかける兵十。
ごんは目を閉じたままうなずく。兵十の手から火縄銃が落ち、物語が終わる。
これがあらすじである。
ウイキペディアの記事を参照にしながら整理をすれば、新見南吉が、この物語を執筆したのは、わずか17歳(1930年)の時。
南吉は4歳で母を亡くしており、孤独でいたずら好きな狐の話に深く影響されたのではないかと言われている。
国語の教材や絵本で一般に親しまれているのは『ごん狐』である。
口伝の伝承者は「茂助」という高齢の元猟師であり、幼少の南吉に話を伝えたとされている。伝承者「茂助」は確認されておらず、口伝のオリジナルは失われてしまっていることから、草稿の冒頭部分も南吉の創作作品の一部ではないかという見方も存在する。
ただし、草稿の『権狐』には本職の猟師でないと知りえないような情報が含まれている。
また、口伝に登場する権は、兵十の母の葬式を見て、悪さをしなくなりました。というところで終わり、
撃たれておらず
鈴木三重吉が行った編集方針。
全国的な物語の普及を目的として、贖罪の位置づけを強調するとともに、語り手の存在感を薄めた他、場面の単純化、表現の一般化、地域性の排除など30数ヶ所にのぼり、近代の童話として大胆に手を加えられた結果、普遍的な共感をもたらす作品として完成した。
その一方で、当時の社会情勢(村の持ち物の林や森の国有化による猟師の廃業、方言の標準語化などなど)によって、もともと見られた光景や口伝的要素、地域色、文学的表現が失われた……。
さて、問題は有名なラストシーンの草稿。
そこでは、「権狐はぐったりなったまま、うれしくなりました。」であったが、「(ごんは)目を閉じたままうなずきました」となって流布している。
作者自身が後になって改稿したようである(三重吉の手が入ったわけではあるまい)。
「うれしくなりました」では「撃たれてうれしくなりました」と誤解される恐れがある。
それに、「うれしくなりました」では、ごんについての「解釈」を作者が出してしまっている。
「うなずいた」ことで、読む方がいろいろに解釈できる。
教室のみなさんにも、いつも伝えていることがある。
「感情語で書かない」……うれしかった、悔しかった、悲しかった、辛かった、などなど、簡単に書かない。
「肉体語で書こう」……登場人物を「身長が何センチで、体重が何十キロで」と書くことではなく、その場の状況でどのような「表情」「仕草」をしたかを書こう、と。
作者がしゃしゃり出てしまっては、読者が鼻白んでしまう。
このことについては、遠藤周作さんと話し合ったことがある。
「すまん、君の原稿を紛失してしまって」
三田文学編集長時代の遠藤さんは詫びた。それから、上記のような内容の件に。
パンローリング 新美南吉 童話(ごん狐)
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最終更新日 2010.08.02 03:47:56
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