日本語はダメか2

日本語はダメか2

2012.01.12
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「最近、日本庭園が見直されている。動と静、わびの世界がこの荒廃したヒトの精神によい影響があるらしい」
 生徒さんの作品の中の文章。
「わび」は「侘び」と書くこともあろうし、「ヒト」は「人」、「よい影響」は「良い影響」「いい影響」を選んでもよ(良)い。
 ローマ字ではどうなるか。
「Saikin nihonteien ga minaosarete irurashii.Dou to Sei,Wabi no sekai ga
kono kouhai shita hito no seishin ni yoi(ii) eikyou ga arurashii.」

 ある新聞の大見出し・中見出し「55校が統合・移転検討 被災3県の小中 遠い正常化」は、
「55kou ga tougou・iten kentou hisai3ken no syoutyuu tooi seijyouka」と綴られる。
「琴奨『責任』連敗阻止」「市船 執念の逆転劇」「東九州龍谷6度目V」「栄冠目前…力尽く」「重症化する人 早め受診を」

「力尽く」はパソコン入力では「力付く」しか出て来ない。もちろん、「力強く」も出て来ない。

もちろん、「ヘボン式」「訓令式」などによって、上に書いた書き方ではない表記の仕方は色々あるだろうが、いずれにしろ、一目では意味を取りにくい。
 漢字の持つ「表意」の強みを改めて感じた。

 戦後、志賀直哉、山本有三などの主張で、日本語をフランス語に変えよう、英語を採用しようなどの動きがあった。文部省(文部科学省)内には伝統的にローマ字論派が根強い、と物の本にあった。
 軍関係の流れの中でも、「この日本語のために戦争は負けた」という意見が根強くあった、と聞く。
「漢字は効率的ではない、これでは世界の情報戦の流れから遅れる」らしいが、「効率」だけが言語の効用ではないのではないか。
「生命の不条理」を追求するのと「目の前の経済効率」を追い求めるのと、両方なければならないだろう。

 我々の先輩は、和語の音声に漢字を当てはめる「一字一音表記」などの苦労を重ねた。
「列島が生まれて海月(くらげ)のように海面を漂う」」様子を「久羅下(くらげ) 多陀用弊流(ただよえる)」などと書いた。

「日本語の書き言葉の中には、凄い緊張がある。漢字か平仮名か片仮名か常に選択を迫られる。こんな言語は他にない」と作家リ-ビ英雄さんは言う。「日本語の書き言葉の魔力にとりつかれてきた」リービさん。
 あるいは多和田葉子さん。「ヨーロッパの文学にあこがれて」渡独、29年。例年、日本に滞在するのは二ヶ月程度。
)などの作品を読み、世間で広く使われる日本語からは少し変質した言葉で文学を成り立たせている自覚を抱いている。

 若者向け娯楽小説「ライトノベル」の書き手はほとんど20代。今年の第18回電撃大賞は「エスケヱプ・スピヰド」。作者は久丘(くおか)望さん。23歳。
 昭和101年が舞台のSFメカアクション(って、こちら「メカアクション」を知らないのだが)。
「ヱ」や「ヰ」をわざわざ選んだのは、それなりの言語感覚からの工夫だろう。

 効率だけが言語の命ではない、ということをじっくりと考え直した夜。








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最終更新日  2012.01.12 06:56:56
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