日本語はダメか2

日本語はダメか2

2014.04.30
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 ――なぜ、裁判所は歪んでしまったのでしょう。

「最高裁事務総局の、見えにくいけれども、非常に強い統制のシステムが完成してしまったからです。最高裁による裁判官統制は石田和外(かずと)長官(1969年~73年)時代に始まり、矢口洪一(こういち)長官(85年~90年)の時代に完成したと言われています。その後、統制はいったん若干緩んだ。しかし、前長官の竹崎(機種依存文字制約で「サキ」が使えない。仮にこの「崎」で代替)博允(たけさきひろのぶ)氏(08年~14年3月)の時代に再び強固なものになりました。

 かつては左翼的な裁判官など、イデオロギー的な側面から裁判官は排除されていましたが、いまはイデオロギーに関係なく、裁判所内で自分の意見を言う裁判官、自分でものを考える裁判官が排除されるようになったのです。裁判所に『余裕』といったものがなくなり、体制、つまり最高裁事務総局の考えに沿わない人はどんどん排除される。これでは『全体主義国家』と同じです。こんなことは戦後の裁判所の歴史のなかでもおそらくなかったことです。

 私自身、筆名を使っての著作や研究論文などを発表してきました。それらは弁護士や学者にも評価されていたと自負していますが、外部に意見を発表したということで裁判所の組織では『異端者』扱いされ、疎まれていました。実際、『裁判官は仕事と関係ない文章など書くべきではない』と面と向かって私を非難した上層部の裁判官もいたほどです。

 もともと裁判官より学者の道に進みたいと考えていた私は、12年の春に明治大学教授への就職が決まり、その準備のために有給休暇の承認を所長に願い出ました。ところが、所長は休暇の日にちが長すぎると言い、『そんなに有給休暇をとるなら早く辞めたらどうか』と、早期退官を事実上強要しました。大学教授への転身に対する嫌がらせであったのかもしれません」

 ――裁判官に対する「統制」は人事にも表れているということですが。

「裁判官は、主として担当してきた仕事によって民事系、刑事系、家裁系に分かれます。昔は刑事系裁判官の数も多かったのですが、その後、どんどん数が少なくなりました。

しかし、00年代以降、事務総局の幹部は竹崎(同)氏と同じ刑事系の裁判官や、竹崎(同)氏と関係の深い裁判官が重用されるなど『情実人事』が横行しました。矢口時代でもこれほど露骨な人事はなかった。新任の判事補など若手裁判官の人事にも事務総局の意向が及んでいます。こんな組織は腐敗するしかありません」

 ――本書の中で、裁判官の評価は「二重帳簿」システムになっていると指摘されています。



 それにもかかわらず、実際にはかたよった、差別的な人事が行なわれています。表向きの書面とは別の個人別書面がある、つまり『二重帳簿』システムになっていると考えるのが自然です。その話は複数の裁判官からも聞いています。個人別書面は絶対極秘のもので、事務総局でも一部の幹部しか見ることができないものだと思います。

 諮問委員会制度ができて以降、再任を拒否される裁判官の数が目立って増えています。確かに再任拒否される裁判官は能力不十分な場合が多いと思いますが、そうではない裁判官が混じっている可能性もあります。再任拒否がありうることをちらつかせての退官の事実上の強要の場合、その可能性はさらに高くなるでしょう」

 ――09年に始まった裁判員制度は、刑事系裁判官の「権益拡大」に利用されているとか?

「司法制度改革によって誕生した裁判員制度で刑事系裁判官が脚光を浴びるようになり、刑事系裁判官を増員することが可能になったのです。

 そして、裁判所の人事や予算など司法行政を担当する事務総局の重要ポストの多くを、民事系よりはるかに数の少ない刑事系の裁判官が占めるようになりました。事務総局トップの事務総長、人事局長、経理局長、総務局長、秘書課長兼広報課長などを刑事系裁判官が押さえるようになったのです。

 特に事務総長と秘書課長兼広報課長の人事は極端に刑事系にかたよっており、『裁判所の上意下達システムの要となるこのふたつのポストは刑事系で押さえる』という方針が露骨に表れています。

 裁判員制度は、市民から選ばれた裁判員が有罪か無罪かの事実認定や、有罪の場合は懲役○年かなどの量刑を裁判官と一緒になって評議するものです。しかし、容疑を認めている被告人の裁判まで裁判員裁判にする必要があるのか、理解に苦しみます。容疑を争っている被告人が『職業裁判官ではなく、市民による裁判を求めたい』という場合にだけ裁判員裁判にすればいいのです。その裏には、裁判員裁判の数を増やすことで刑事裁判官の仕事の範囲を広くし、権益を確保する意図があったと考えられます。

 また、裁判員制度は『司法への市民参加』というメリットばかりが強調されがちですが、その一方で、裁判員には厳しい守秘義務が課せられています。事実認定や量刑を決めるための評議のみならず、たとえば裁判官の説明や説得等の内容を漏らした場合ですら、『6ヵ月以下の懲役または50万円以下の罰金』という罰則が科せられます。守秘義務の厳しさは、裁判所が市民を信用していない証拠。世界的にも例をみないものです」(続く)





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最終更新日  2014.04.30 09:35:12
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