山田維史の遊卵画廊

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☆Tadami Yamada's ドラキュラ叢書


紀田順一郎・荒俣宏責任編集 国書刊行会刊(1976~1977)

 怪奇幻想小説の古典的名作を収集したドラキュラ叢書全10巻が国書刊行会から刊行がはじまったのは昭和51年(1976)のこと。紀田・荒俣という名うての編集ということもあって怪奇幻想小説ファンの胸をおどらせた。
 全巻の装丁デザインは山下昌也氏で、私が装画および本文挿し絵を担当するようになったのは全10巻のうち3巻目からである。このイラストレーター交替にはいろいろな事情があったようで、それを知った私としては依頼されたことは嬉しかったが、なかなか二つ返事で引き受けかねるためらいがあった。しかし担当の篠崎氏の熱心な慫慂で執筆をはじめた。
 ただ、最後まで困惑がつづいたのは、「一巻ごとに異なる画風で描いてほしい」という注文だったことだ。
 そうして描いた絵は、あれから30年以上も経つので正直に言うが、熱烈なファンを自称する読者の受けはあまりよくなかった。しかし、そうではあったのだが、実は、『ジャンビー』の本文挿し絵は、アメリカのニューヨーク・イラストレーターズ・ソサエティーの認めるところとなり、同協会の創立20周年国際展に選抜されたのである。それは一般読者の目とは異なる商業美術専門家の目の存在を私に知らしめた。そしてこれが私の作品が海外で評価される最初の一事となった。私に白羽の矢を放ってくれた篠崎氏に大いに感謝しているのである。
 なお、『ジャンビー』と『妖怪博士ジョン・サイレンス』の本文挿し絵は、このフリーページの〈挿し絵〉の項にそれぞれ頁をもうけて掲載した。

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