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日々の暮らし
2024.03.18
わたしのアイデンティティ☆左利き
テーマ:
楽しむ育児と育自(568)
カテゴリ:
日々の暮らし
左利きの子を右利きに矯正する…現在ではあまり聞かれなくなりました。
「駅の改札」など不便な点もありますが、左利き用の日常品もかなり増えてきましたし、日本社会としても「どちらでもいいのでは?」という意識に完全に変わったと思います。
ただ、私が子育てを始めた20数年前は、まだまだ「左利きは矯正するべきでは」という空気も残っていました。
その中での、「左利き寄りの両利き」である長女「サラ」の話です。
サラが左利きであることは、乳児期から気づいていました。
離乳食が進み、自分でスプーンやパンを持たせると、必ず左を使っていたからです。
私も夫も「生活しづらい部分が出てくるかもだけど、本人の個性だから」と、気にしないでいました。
まあ、一応右で持たせるようにもしてみたのですが、必ず左に持ち替えるのです。
無理して矯正させることの弊害も知っており、生まれてからずっと自己主張が強いサラには「矯正は無理強いになる」とも思い、自然に任せることにしていました。
一緒に食事をすると、サラが左でスプーンを持つと、「なぜ右にしないの」と頻繁に言ってくるのです。
その度に「今は左利きであることは否定されない時代。誰かに迷惑をかけることではないので、本人に任せたい。」と伝えてきたのですが、納得はしてもらえませんでした。
そして、サラが4歳くらいの時と思います。
やはり食事の席で「スプーンは右で持ちなさい」と言われ続けていた中で、サラが「どうして?」と義母に尋ねたのですが、その答えは衝撃的でした。
「みっともないから」
義母は、世間体を理由にしたのです。
子ども心に、何か感じることがあったのでしょう。サラはその場で号泣し、暫く義母との食事を拒否しました。
そして、私に訴えたのです。
「左利きの私は、認めてもらえないの?左利きなのが「私」なんだよ。」と。
4歳の子どもが、幼い言葉でありながらも「そのままの自分が『私』」という主張をしたことに、私はサラを心配をしながらも感動していたのでした。
「左利きこそ『私』」という意識は、サラの為にも尊重しなければならない、そう思わせてくれたのです。
義母も、だんだんと何も言わなくなっていきました。
何故か、サラはハサミだけは自然に右で使うようになったのと、小学校入学時に本人意思で「字は右で書く」と言い出したので(その辺は改めて)、安心したのか諦めたのか。
調べたところ、私の両親は左利きについて否定的でなかったので気づかなかったのですが、一部の義母の年代(昭和一桁世代)の意識として、
「左利きでは嫁にいけない。『親のしつけの悪さ』と見られてしまうから。なので矯正は必須。」
というものがあったようです。
でも時代が変わって、そのような意識は無くなりつつある中でも、自分の価値観をアップデートせずに頭ごなしに主張されただけでは、結果としてサラを傷つけるだけでした。
サラの現在。
親もびっくりするほどの「自己肯定感の高さ」です。
それは、4歳の時点で「今の自分こそ『私』」と言えてしまう、本人の生まれ持っての気質が大きいと感じています。
でも、あの時、「左利きである『私』」であることを否定してしまっていたら。
私自身が、世間体や義実家との関係の方を重視して、理由もはっきり伝えきれずに矯正してしまっていたら。
サラの伸びやかさも、親である私との関係性も、現在より欠けてしまっていたのではと感じるのです。
幼い頃の、一つの出来事。
でも今考えると、その後を左右するかもしれない、子育ての流れの中のキーポイントでした。
見落とさなくてよかった、と感じています。
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最終更新日 2024.03.18 12:59:59
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