なんとかしておっさんの正体を知りたい。私はちょっとムキになっていた。
「見たままで言うと、あなたは人間ではなくて、人間よりも小さくて、おっさんで、緑色のジャージを着ていて、頭は少し禿げていて」
そこまで言うとおっさんは急に顔色を変えて怒鳴った。
「禿げとりゃせんわいっ。こういうヘアスタイルや、ぼけぇっ」
あ、そこ、触れられたくないんだ。
「そういうヘアスタイルだとしても、私は私の見たままを言っただけだよ」
「ふんっ、見た目で判断するやつは嫌いじゃ」
変なの。言っていること矛盾してない? 難解で厄介な性格。
だけど髪の毛が薄いのを禿げではないと言い張るなんて、人間のおっさんそのものみたいでなんか笑える。
「ふふ」
「お、お前、やっと笑ったな」
おっさんもニカッと歯を見せて笑った。
「まぁな、要は何でもええっちゅう話や。禿げではないけどな。お前がワシを見て、妖怪でも幽霊でも宇宙人でも、これやと思うモンがあればそれでええねん。実際、そのどれでもあって、どれでもないけどな。ワシが何者かなんて、ワシに聞かんで、お前自身で決めろ。あ、ちょっと待て。妖精ちゅうんもあったな。よし、それにしとこ。ワシの繊細なキラキラしたとこなんかは、人間が考える妖精のイメージにかなり近いモンがあるやろ」
「は?」
それって、見たまんまからはどんどんかけ離れていくような気がする。だいたい私に決めろって言ったくせに、勝手に妖精にしとこうなんてどういうこと? 呆気にとられている私をよそに、おっさんは続けた。
「せや、せや、妖精や。あ、イケメン俳優とかイケメンサッカー選手もええな。お前の思う通りでええ。お前が『これだ』と決めればそれがワシや」
「じゃあ、イケメン俳優とかサッカー選手とかはないでしょ」
おっさんは不満そうだった。
「何や、それなら国民的イケメンアイドルってか」
「いや、職業もだけど、イケメンっていうのが」
「ないっちゅうんか?」
おっさんは急にしょぼんとしてしまった。妖精というセンは妥協できないこともないけれど、私的に、ううん一般的にもイケメンは有りえない。
「とにかく、私の幻覚ではないってことは確かだよね」
「いや、お前が幻覚だと思えば、ワシはお前の幻覚や。さっきから何度も言うてるやないか」
「でも人間じゃないし、禿げてもいない?」
「そうや」
「だけど私があなたを『人間だ』と思えば人間でもいいんじゃないの?」
「だから、さっきも言うたがワシと人間じゃサイズが全然ちゃうやろっ。だいたいお前自身が、ワシは人間以外のモンやと思っとるやないか」
「それはそうなんだけど・・・」
うー、分んない。ちょっと面倒になってきた。
おっさんの正体を探るのは諦めて、他の質問をすることにした。
「じゃあ妖精ってことにしといて、何で私に付いて来たの?」
「それなんやけどな」
おっさんは腕組みをして目を細め、重々しく話し出した。
「ワシにもさっぱり分からんのや。お前は何でだと思う?」
「はぁ? 何言ってるの?」
いつの間にか、日が暮れる時刻になっていた。レースのカーテン越しに窓から差し込む西日が、部屋の中をほんのりとオレンジ色に染めていく。おっさんの影がベッドの上に細長く伸びる。私たちは互いにきょとんとしたまま、茫然と相手を見つめていた。 (続く)
※この作品はフィクションです。登場人物や団体等、実在するものとは一切関係はありません。
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ご訪問、ありがとうございました^^
「小さいおじさん」に関する都市伝説的な話は
色々あると前回も書かせていただきましたが
じゃあ、私自身はと言うと
小さいおじさんなんて見たことありません。
「絶対にいる」とも「絶対にいない」とも思いません。
いるかもしれないなぁ~ いるなら見てみたいなぁ~
でも実際に目の前にしたら怖いだろうなぁ~いなきゃ困るってものでもないし、いなくていっかぁ~
と、かなりいい加減なスタンスです。(^^;)
ところで私、今週はブログを2回更新できました。
私的にはかなりの快挙
来週もぼちぼち頑張るぞ!^^
それではまた次回、お時間がありましたら、お付き合いくださいね。(*^^)v
連載小説 緑のおっさん 7 October 18, 2013 コメント(11)
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