東方見雲録

東方見雲録

2023.03.27
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カテゴリ: ランドスケープ
自然の保護から保全・活用に切り替えるのが、今回の法改正の趣旨だ。特に下村氏が重要と考えるポイントは「自然体験プログラムの推進」と「利用者負担の仕組みづくり」である。

 「まず自然体験プログラムの推進について、公園で自然を鑑賞するだけでなく、ガイド役の案内や体験プログラムを用意して、自然への価値・興味を高めます。特に二次的自然は、風景そのものの『実像』だけでなく、その自然と人がどう関わってきたか、どんな文化を紡いできたかという『歴史的背景』にも価値があります。その情報を与えることで、風景の、そして公園の価値を高めていくのです」

 また、体験プログラムを設けることで、人が自然に介在し続ける動機にもなる。二次的自然の多くは後継者不足が深刻だが、体験プログラムが“次の担い手”を生むきっかけになるかもしれない。国立公園に行くと、ガイドの情報を聞きながら自然や文化が体験できる。そんな場所への転換を見据えている。

 従来の自然公園で主流だった「島状保護」も変わっていく。自然公園の中核部分に向かって一律に保護を強めるのではなく、環境や状況に応じて、人が触れない観賞だけの場所、あるいは体験プログラムで利用する場所など、自然公園をゾーニング(区域分け)していく。検討会の提言では、各公園でその計画を立てていく形を勧めている



自然公園法改正の動きは、単に公園のあり方や自然との関わり方を変えようとしているのではない。地域を育てる観光、地域に還元する観光の実現を後押しする。日本は、国土の2/3が森林であり、さらにその2/3が里山である。農地や草原などの里地も加えた二次的自然環境は、国土のおよそ7割を占めている。この広大な二次的自然環境を守りながら活かすには、どうすべきなのか。私たちは、今まさに大きな転換点を通過しているのかもしれない。

國學院大學メディア 下村彰男教授の記事より抜粋引用   こちら





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Last updated  2023.03.27 09:00:08
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