東方見雲録

東方見雲録

2023.11.25
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カテゴリ: 政経



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 心理学者のダニエル・カーネマンとエイモス・トベルスキーは、人間をホモ・エコノミクス(完全に合理的な存在)とみなす当時の経済学に疑問を抱いていました。そこで、経済学の大前提であるホモ・エコノミクスが誤った考え方であることを示すため、大規模な心理学実験を行いました。
 カーネマンが行った実験は、たとえば次のようなものです。

 質問1と2で、あなたはどちらを選ぶでしょうか?

 質問1:あなたはどちらを選びますか?
 選択肢A:無条件で5000円を受け取れる
 選択肢B:コインを投げて表が出れば11000円を受け取れる。裏が出れば何も受け取れない

 質問2:あなたはどちらを選びますか?

 選択肢B:コインを投げて表が出れば11000円を没収。裏が出れば何も奪われない

この質問をすると、質問1では大部分の人が選択肢Aを選ぶとされます。不確実なBよりも、より確実に利益が得られるAを選ぶということです。

ここでポイントなのは、選択肢Bは五分五分の確率で11000円を受け取れるので、平均的には500円を得られる選択肢であり、選択肢Aよりも利益が高いという点です。

それにもかかわらず多くの人がAを選ぶのは、人間には不確かな選択肢を避ける傾向、つまり、リスクを回避しようとする「リスク回避的」な傾向があるからです。

このリスク回避自体は、合理的な判断といえます。というのも、不確実な選択肢は悪いほうに転ぶ(選択肢Bの場合はコインの裏が出てしまう)可能性もあるわけですから、金額は少し下がるけれどもより確実な選択肢Aを選ぶというのは、合理的な判断といえるからです。

 問題はここからです。質問2では、選択肢Aを選ぶと5000円を確実に失います。一方、選択肢Bは五分五分の確率で11000円を奪われるので、平均で5500円を失う選択肢だということになります。

 人間がリスク回避的なのであれば、選択肢Aの方が不確実性もないし選択肢Bよりも失う金額が少ないので、多くの人が選択肢Aを選びそうなものです。しかし実際に聞いてみると、質問2では大部分の人が選択肢Bを選びます。

 このように、リスクの高い選択肢をあえて選ぶ傾向のことを、「リスク愛好的」と呼びます。

 以上の心理学実験の結果を見てみると、人間は利益についてはリスク回避的にふるまい、損失についてはリスク愛好的にふるまうということになります。

 ちょっとわかりにくかったかもしれませんが、具体的にどこが不合理なのかというと、先ほどの質問2で選択肢Bを選んでしまうという点です。

 その理由は、人が無意識に損失の確定を回避しようとしているからだと考えられています。選択肢Aを選んだ瞬間に損が確定してしまうので、それを避けるために選択肢Bを選ぶということです。このように、損失を回避したがる心の性質のことを「損失回避性」と呼びます。

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Last updated  2023.11.25 08:00:09
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