東方見雲録

東方見雲録

2023.12.27
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カテゴリ: 環境



──北極の海氷は今後もどんどん薄くなっていくのでしょうか?

菊地:海氷がとけると、海水面が現れます。海水面は白くないため太陽の熱を反射しません。そのため温められて海水温が上がります。このことはさらに海氷をとけやすくします。そういう正のフィードバックがかかってしまうので、海氷減少が、そして北極の温暖化が加速しているのです。

──もう後戻りができないような状態なのでしょうか。

菊地:北極海の海氷減少については、臨界点を超えていると言われています。先にお話ししたフィードバックなどが効いていることも大きな要因です。もちろん温暖化対策がどこまで進むかにもよりますが、現時点での予測モデルでは、今世紀の中頃には夏に氷が完全になくなる年が出ると計算されています。その先の予測は精度が低いので憶測レベルの話ではありますが、このまま温暖化が続くようであれば、2300年頃までに冬でも北極の氷がなくなるという説もありますね。

──北極の変化は、日本列島周辺にはどのような影響を及ぼすのでしょう。

菊地:北極は温暖化の最先端ですから、そこで起きたことはいずれ日本を含めて世界中で起きる可能性があります。たとえば、海洋酸性化がいち早く起きたのは北極海。海が酸性化すると炭酸カルシウムがとけやすくなるので、いま北極海では殻を持つプランクトンが危機に瀕しています。

実際、ある研究航海で、北極で採取した海水にクリオネのエサになるミジンウキマイマイという殻を持つプランクトンを入れる実験をしたところ、可哀想ですが10日ぐらいで殻がボロボロになって死んでしまうという結果になりました。同じことが日本周辺の海でも起これば、生態系が変化して漁業などにも影響が出る可能性はありますよね。

・・・・


というのも、大西洋側から北極海の入口あたりにある氷がとけると、暖かい空気が北極に入り込む一方で、北極の冷たい空気がシベリアのほうに出て行きます。そのため「ウォーム・アークティック コールド・シベリア(暖かい北極、冷たいシベリア)」と呼ばれる現象が起きるんですね。

これはいわば、冷蔵庫のドアを開けっ放しにしたような状態。暖かい空気が冷蔵庫(北極域)に入るとともに、冷たい空気が冷蔵庫の外(シベリア域)に出てきたというふうに例えてみたのです。シベリアが寒くなると、気候的に下流にある日本に次々と寒波がやって来ます。だから90年代末から2010年代までは、「北極の氷が少ない年に日本は大雪になる」と言われていました。

しかしこの現象は、もう終わりかもしれません。冷蔵庫のドアが開いていても、冷蔵庫の中が暖かい空気で満たされれば、もう冷たい空気は出てきませんよね。ですから、「ウォーム・アークティック コールド・シベリア」は温暖化による過渡期の現象だった可能性があります。さらに温暖化が進めば、別のステージを迎えるかもしれないわけです。そもそも北極域を冷蔵庫に例えるのが正しかったかどうか。冷蔵庫そのものが壊れてきたかもしれないですね。

引用サイト: こちら





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Last updated  2023.12.27 07:00:13
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