東方見雲録

東方見雲録

2024.02.18
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カテゴリ: 環境
事業終了後の太陽光パネルの撤去積立金が少なくとも災害リスクがある斜面に立地する全国1600施設(500キロワット以上)で不足する恐れが浮上している。各事業者は再エネ特措法に従い廃棄費を積み立てるが、安全対策費などが膨らみ3割程度上振れする可能性が高い。放置や不法投棄につながる可能性もあり、適正処理へ向けた仕組み作りが不可欠だ。

2012年に始まった固定価格買い取り制度(FIT)による買い取り期間は10キロワット以上で20年間。32年には各地の施設で買い取り期間が終了し始め、売電価格が大幅に下落する見通し。パネル寿命も25〜30年程度とされ、各自治体は追加投資をためらい、発電所の維持管理や更新を怠る事業者の増加を懸念する。






日経の調べでは傾斜地に立地する施設は土砂災害(特別)警戒区域など、災害リスクが高いエリアだけでも全体の18%に上る。急な傾斜地での作業は公共工事の予定価格算出に使う賃金水準でみると、平地に比べ3割高い(山林砂防工と普通作業員の全国平均を比較)。太陽光開発大手リニューアブル・ジャパンの撤去工事費の試算でも3割程度上振れする。
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費用不足で放置された場合、災害も誘発しかねない。京都大学の松浦純生名誉教授は「排水路などが管理されなくなり、表面侵食や土砂崩れが起きやすい状況を生む可能性がある。撤去に加え、植林などが不可欠」と話す。

アラブ首長国連邦(UAE)で23年に開かれた第28回国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP28)では、30年に再生可能エネルギーを3倍に拡大することに130カ国が賛同した。日本でその中核を担う太陽光の持続可能性を高めることは社会的責務といえる。新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の試算では使用済みパネル排出量は36年に年17万〜28万トン。大量廃棄に備え、確実な撤去や事業終了後の対応を促す狙いを盛り込んだ条例を制定する自治体も出始めた。

神戸市は「多額の費用がかかる撤去や災害時のパネル飛散などに対応する」(環境保全課)ため、20年、5万平方メートル以上の設備新設時に、廃棄費の積み立てを義務付けた。長野県木曽町も原状回復を条例で定めた。

事業者に適正な処理を促すためには規制だけでなく、再利用やリサイクル市場の確立などによって、事業終了後のコストを低減させる取り組みも必要となる。環境省はリサイクル設備を導入する事業者に対し、費用の半分を上限に補助金を出し、各地で処理能力を向上させる。

三菱ケミカルグループの子会社の新菱(北九州市)はパネルを高温処理し、ガラスなどの素材を回収しやすくする技術を開発。処理コストを2〜3割削減した。丸紅と浜田(大阪府高槻市)は共同出資で新会社を設立し、中古パネルの買い取り販売を始めた。
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Last updated  2024.02.18 09:00:11
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