東方見雲録

東方見雲録

2024.05.23
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カテゴリ: スクラップ
2007.05.23の日記 こちら

古い枝にある「翼」がニシキギの特徴

ニシキギには、枝の節間で四方に張り出すコルク質の「翼」があり、これを刃物や矢になぞらえ「カミソリノキ」、「鬼の矢柄」などの別名や古名がある。京都で刺抜きの妙薬として使われた「速康散(そげ抜き薬)」はこの翼を原料とした。 「翼」ができる個体とできにくい個体があり、野生種よりも園芸種の方がきれいな「翼」になりやすい。
引用サイト: こちら
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ニシキギは学名をEuonymus alatus (Thunb.) Siebold f. alatusというように、Euonymus alatus (Thunb.) Sieboldの一品種です。このEuonymus alatus (Thunb.) Sieboldの種内変異の中には、ケコマユミ、ケニシキギ、コマユミ、オオコマユミなどがあります。これらのほとんどは、ニシキギのようなコルク層の発達を見せないか、わずかです。また同属近縁種の中にも、コルク層の発達の顕著なものはありません。またニシキギの中でも、見くらべてみるとコルク層の著しく発達するものから、それほどでもないものまで変異が見られます。そのことからしますと、ニシキギは実は 一種の奇形 ではないでしょうか。ご指摘の通り、ニシキギのコルク層は完全にコルクであって、光合成の役には全く立ちません。しかしコルク層の発達が特に生存・繁殖にとって不利でも有利でもなかったため、いわゆる中立的変異として集団の中で振るまい、たまたま蓄積したのがニシキギだと思います。加えて、 鑑賞価値が大変高いため、人為的に繁殖を助けられたこともあり、世の中に広く分布するようになったのでしょう。 一般に生物の形態の進化は、用不用説で考えすぎない方が妥当です。とくにニシキギのように、人為的に庭植え用に大量生産されている種類の場合は、 野外で見かけたとしても、その逸脱であることが多いので、必ずしも本当の野生とは限りません。
 なおニシキギのコルク層は、ワインの瓶の蓋に使うコルク樫のコルクと同じで、コルク形成層に由来します。この発達は、特に顕著な株で観察していますと、新しい枝が伸長しきった頃には既に表皮を突き破って出始めているのを見ることができます。しばしば庭や時として道路のグリーンベルトなどにも植えられていますので、是非ご観察下さい。

塚谷 裕一(東京大学大学院理学系研究科生物科学専攻)
こちら





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Last updated  2024.05.23 07:00:16コメント(0) | コメントを書く


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