東方見雲録

東方見雲録

2024.12.28
XML
カテゴリ: 政経



日産とホンダが経営統合しても日鉄がUSスチールを買収しても日本のGDPにはほとんど寄与しない

<海外生産への転換や現地法人の買収を進めて国内の産業が空洞化すれば、日本のGDPが損なわれることは分かっていた>
内閣府が12月23日に発表した「国民経済計算(年次推計)」によりますと、2023年の日本の1人当たり名目GDP(国内総生産)は、前年比約0.8%減の3万3849ドルでした。これは、経済協力開発機構(OECD)加盟38カ国中22位となり、21位の韓国に抜かれたことになります。

ちなみに韓国に抜かれるのは今回が初めてではなく、計算基準が変更されたために、一昨年の2022年でも、韓国が21位、日本22位だったそうです。更に、年末が迫った今年、2024年に関しては更に一層円安が進んでいることもあり、数字の改善は期待できないと思います。

大昔から、1人当たりGDPが3万ドルというのが曲がりなりにも先進国としての最低水準と言われてきました。日本が、この水準を割り込むのは時間の問題かもしれません。1人当たりの数字とは別に、総額で見た日本の名目GDPについても、長い間米中の後の3位だったのが、2023年にはドイツに抜かれて4位となり、背後からはインドが迫ってきています。

このようにGDPが低迷しているのには、様々な原因がありますが、一番の要因は財界、つまり日本の主要な企業が余りにも国内を軽視していることが挙げられます。例えば、最近大きな話題となっている経済ニュースに関して考えてみても、国内経済とは直接関係のない話がほとんどです。
・・・・
財界も経産省も「これでいい」とは思っていないと思います。また、財界としても、各企業が生き残るためにしてきたことではあるものの、「こんなはずではなかった」と思っているはずです。

1980年代後半からの40年近く、多くの日本企業はこうした現地生産や海外法人の買収を続けてきました。円高対策であり、現地の雇用を保証しないと市場に入れてもらえないからでしたが、こうした過度の空洞化を進めれば国内のGDPが失われることは分かっていたはずです。



1つは、製造業を海外に出した場合に、本来であれば国内はより付加価値の高い知的産業にシフトするべきです。ですが、日本の場合は分厚い言語の壁があり、文明の成り立ちや教育の方法が、グローバルな先進産業とはミスマッチを起こす中で、改革を先送りし続けました。その結果、国内経済においては衰退トレンドが定着したのだと思います。

もう1つは、高学歴な人口の多くは多国籍企業に就職していることが多く、空洞化しても海外からの収益で潤うからです。つまり、海外で売上が立つ企業の場合は、円安も加わる中で「史上最高の収益」や「大幅な賃上げ」が可能になり、GDP低迷の「痛み」を感じないのです。

その一方で、GDPの低下はダイレクトに国内経済に影響を与えています。何よりも貧困の問題はその結果であると思います。可視化できる部分、できない部分のいずれにおいても、経済衰退の痛みは全国に様々な影響を与えています。

では、日本はアメリカのトランプ政権のように自由貿易を否定して、改めて経済鎖国を行えば国内経済を復活させることができるのかというと、それは違います。国内市場は人口減で縮小を加速させています。またエネルギーと食糧については、輸入に頼る部分が大きいので、弱くなる円を支えるためにも輸出で稼ぐことからは逃れられません。輸出で稼ぐというのは、海外で作って売るのではなく、国内で作って海外に売るという意味です。そうでなくてはフルでGDPには貢献しないのです。

そうではあるのですが、今となっては、製造業では中国やアジア諸国に生産性という点で対抗できていません。また知的付加価値を求める新産業においては、欧米やアジアの一部の国には現時点では全く勝ち目がないのも事実です。つまり、日本という文明の弱みを克服し、中進国型の教育を改革しないと、このままでは衰退が加速するだけです。

とにかく、1人あたりGDPで負け続けていること、この事実を直視して、そこに悔しさと危機感を抱くこと、これが何よりも第一歩だと思います。その上で、相当な覚悟で改革に踏み出すこと、新しい年にはそうした議論は避けられないと思います。
引用サイト: こちら

参考サイト:日本はアジアの「中進国」になるのか   こちら

関連日記:2024.12.23の日記  「1人あたりGDP」日本は過去最低の22位  こちら

関連日記:2023.12.12の日記 令和の身の丈に合った日本  こちら





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  2024.12.28 09:00:11
コメント(0) | コメントを書く


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

© Rakuten Group, Inc.
X
Design a Mobile Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: