ちょっと寄り道:「田園都市論」(ガーデン・シティー)
ハワードの中核となる理念は、「都市(Town)と農村(Country)の結合」である(原文“Town and country must be married”から「都市と農村の結婚」とも翻訳される)。 ハワードは、都市・農村という2つの「磁石」(すなわち魅力)の間で、人々はなぜ都市に引き付けられるかに着目した。 都市は、雇用機会や高賃金、社会的交流、娯楽などの長所の一方、自然や住環境は汚染され、高家賃・高物価、孤独という問題がある。農村は、自然の美しさや森と草原、新鮮な空気、低家賃・低物価という長所の一方、雇用機会や社会的交流、娯楽に恵まれずインフラも整っていない。 そこで、第3の選択肢として、双方の長所を兼ね備えた「田園都市」を建設すれば、人々はその磁石に引き寄せられ(すなわち自発的に都市を離れ)、田園都市での新たな暮らしや文化的社会を享受できるようになる。そして、大都市の過密、農村の荒廃という両方の問題解決につながると考えたのである【下図:3つの磁石】。 ・・・・ ハワードの田園都市構想は 120 年ほど前のものだが、自然との共生、協同型社会、循環型システムなど、その提案は古びていない。近年のアメリカのニューアーバニズム運動においても、ハワードが提唱した田園都市の理念を現代社会に置き換えて捉えなおそうとする動きがあり、いまだ大きな影響を与え続けている。