東方見雲録

東方見雲録

2026.03.01
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カテゴリ: デジタル
デジタル情報の長期保存は、人類の知識を将来の世代のために守るために不可欠です。磁気テープやハードディスクドライブなどの既存のアーカイブ保存ソリューションは、メディアの寿命が限られているため、長期的なデータ保存には適していません 1,2,3. 特にガラスなどの堅牢な媒体でのレーザー書き込みを用いた光学記憶技術は、寿命向上の可能性を持つ有望な代替手段として浮上しています。

図1:シリカのシステム




図2:高スループット書き込みの回路図




図3:読み解き



関連サイト:データをガラスに刻む「プロジェクト・シリカ」、実用化に向け大きく前進 こちら
人類が生み出すデジタルデータは、約3年ごとに倍増し続けている。個人の記録から企業の契約書、法的文書まで、その多くは数十年から数百年にわたる保存を必要とするものだ。

しかし、データ記録用の磁気テープは長くても数十年で劣化してしまい、ハードドライブも数年から十年程度で故障するリスクがある。このためデータを新しいメディアへ定期的に移し替える作業が不可欠だ。その費用と手間は膨大であり、長期保存の根本的な解決策とはなりえていない。

そこでマイクロソフトリサーチの研究チームが取り組んできたのが、ガラスをデータの記録媒体として活用する「プロジェクト・シリカ」だ。「この技術を使えば、データが安全に保存され続けることを確信して書き込めます」と、プロジェクトを率いたマイクロソフトリサーチのリチャード・ブラックは説明する。「持続可能なデータストレージにおける大きな前進なのです」

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ガラスは水や熱、ほこり、電磁波に強く、化学的にも安定した素材である。その内部にフェムト秒レーザー(1フェムト秒は1,000兆分の1秒)という超短パルスを照射すると、ナノメートルスケールで構造が変化する。このとき変化した「ボクセル」と呼ばれる微細な点にデータを格納するという試みだ。
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研究者たちは今回、台所の調理器具やオーブンのドアにも使われる一般的な「ホウケイ酸ガラス」でも、溶融石英ガラスを使った場合と同等の記録媒体を構築できることを実証した。ホウケイ酸ガラスは安価で入手しやすく、記録媒体としての大量生産に適している。これにより、コストと素材の入手可能性という商業化への二大障壁が同時に解消されたことになる。

ボクセルにデータを書き込む方式は2種類ある。ひとつは「複屈折ボクセル」と呼ばれる方式で、溶融石英ガラスにレーザーの偏光方向を変えながらデータを記録するというものだ。研究者たちはこの方式を大幅に改良し、従来は多数が必要だったレーザーパルスを実質的に1発に削減する「擬似シングルパルス書き込み」の実現にも成功した。
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もうひとつは、今回新たに発明された「位相ボクセル」と呼ばれる方式だ。これは偏光ではなくガラスの屈折率の変化を利用してデータを記録する手法で、単発のレーザーパルスだけで書き込みが完結する。位相ボクセルはホウケイ酸ガラスで形成できるほか、読み取りに必要なカメラを3〜4台から1台に削減することで装置全体の大幅な簡略化にも寄与している。

ボクセルは2次元の平面に格子状に配置され、それを縦方向に積み重ねることで3次元の立体構造が形成される。研究者たちによると、複屈折ボクセルでは301層、位相ボクセルでは258層の書き込みに成功している。これにより、わずか2mmの厚さのガラス板に複屈折ボクセルなら最大4.84テラバイト、位相ボクセルなら2.02テラバイトのデータを格納できるという。

書き込まれたデータを読み取る際は、広視野の光学顕微鏡でガラスを撮影し、その画像を畳み込みニューラルネットワークによる機械学習モデルで解析してデータを復元するという仕組みだ。
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さらに研究チームは、加速劣化試験(過酷な条件下で意図的に劣化を進めて製品寿命を検証する試験)によって、データが保存されたまま維持される期間を検証した。

その結果、位相ボクセルは290°Cの高温下でさえ10,000年以上もデータを保持できる可能性が示された。室温では、さらに長期の保存が可能とみられている。ちなみに磁気テープの場合は、適切に管理しても寿命の限界が数十年とされている。また、書き込まれたデータの状態をガラスを傷つけることなく確認できる光学的な検出手法も、研究者たちは新たに開発した。
こちら







引用サイト: こちら

関連日記:2026.02.09の日記 「ファイバーチップ」実現   こちら





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Last updated  2026.03.01 19:10:38
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