東方見雲録

東方見雲録

2026.06.22
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カテゴリ: 環境



 同センターを中心に医学部や農学部の研究者も結集。発生メカニズムの解明、人の健康や活動に与える影響の調査、効果的な抑制対策の3グループに分かれ、発生地域のモンゴルや中国に赴いて15年まで研究を進めた。
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000年代は黄砂が舞い始める「臨界風速」が1990年代より弱いにもかかわらず、発生が目立つことに注目。砂漠化など地表面の変化によって、弱い風でも黄砂が飛びやすい状態になる可能性を指摘し、話題を呼んだ。
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黄砂発生時の自覚症状を調べ、かゆみなどの皮膚症状には大気汚染物質でもある金属「ニッケル」の大気中濃度が関係していると確認。症状を訴えた人の多くがニッケルなどの金属アレルギーテストに反応する事実を突き止めた。
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「砂塵嵐」が頻発するモンゴルでも、人や家畜の健康への影響を調査。砂塵を吸った家畜には肺傷害が発生することを世界で初めて明らかにするなど、幅広い成果を上げた。
引用サイト:乾燥地研究センターの挑戦(上) 黄砂プロジェクト 日本海新聞   こちら





 代表的な成果が本紙連載の小説「麦は枯れない」につながったスーダンでの小麦の開発だ。乾燥地に自生する野生種タルホコムギの多様な遺伝子をパンコムギに取り入れた種の集団を活用し、従来より高温乾燥に強い小麦を作り出すことに成功した。併せて植物ホルモンの制御によって干ばつに強く水を削減できる小麦も作り、乾燥の影響で収穫前の穀粒が穂から落ちる問題を解明。厳しい限界地で作物が生き延びる方法を示した。

 研究で重視したのは「多様性」。辻本特任教授は「今の農業は効率よく収量が上がるようになったが、効率だけを求めても環境が変われば作物は全滅してしまう。けれど多様であればゼロにはならない」と強調する。

 多様性を取り入れる試みは研究の幅を広げた。野生種を活用した種の集団には乾燥だけでなく、植物の成長に必要だが資源量が減少している「リン」が乏しくても育つ小麦も存在すると判明。さらにこれまで難航していた植物の内生菌を小麦に導入してストレス耐性を強化する研究でも、この集団を活用すると菌と共生しつつ大きく育つ小麦が開発でき、国際特許の申請まで至った。

 プロジェクトは小麦にとどまらず多様な作物の研究も進展させた。燃料油に使われる作物ジャトロファは原産国メキシコと協力して従来難しかった品種改良に取り組み、近縁種との交配に成功したほか、土壌改良に役立つバイオ炭を作成。乾燥地のタンパク源として重要な豆のササゲを巡っては、栽培種と野生種を交雑する手法の開発を進めた。乾燥に強いアフリカの穀物ソルガムは、葉を緑色に保つ性質「ステイグリーン」に関わる遺伝子を調査し、特に乾燥に強い系統を突き止めた。
引用サイト:乾燥地研究センターの挑戦(中) 限界地プロジェクト 日本海新聞   こちら



乾燥地の問題全体に関わるとして、地球温暖化に関わる研究は近年、重要性を増している。鳥取大乾燥地研究センター(鳥取市浜坂)が2017年度から4年にわたり展開したのが温暖化への対応をテーマとする「乾燥地×温暖化プロジェクト」だ。これまでの黄砂、限界地のプロジェクト成果を発展させ、高温乾燥に強い作物の開発を進めつつ、温暖化による将来的なリスクや乾燥地農業への影響などを調査。世界的なコロナ禍の余波も受けつつも、乾燥地の未来を見据えた研究を続けた。
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気候変動の影響は多岐にわたり、モンゴルでは放牧している家畜が大量に餓死する寒冷災害「ゾド」が問題化している。研究グループは気候予測に基づき、将来は夏に気温が上がり干ばつのリスクが上昇するとともに、夏の栄養摂取量が減った家畜が冬に増加した降雪にさらされ、ゾドの発生リスクがさらに高まると分析。気候変動が進むほど家畜に厳しい環境になるという研究結果を導き出した。

 気候変動の研究では、温暖化が干ばつ激化や砂漠化を引き起こし、砂漠化がさらに温暖化を加速させる負の連鎖が指摘される。プロジェクトのサブリーダーを務めた黒崎泰典教授は「将来を考えるには気候予測に頼らざるを得ない」としつつ、コンピューター上で将来の気候を予測する「気候モデル」は水平解像度が粗い課題があると説明。「より細かく各地域に合わせたスケールに落とし込んで議論する必要がある。今後も研究を継続していく」と展望を語った。
引用サイト:乾燥地研究センターの挑戦(下) 乾燥地×温暖化プロジェクト 日本海新聞   こちら

関連日記:2023.06.28の日記  砂漠緑化の父 遠山正瑛さん    こちら





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Last updated  2026.06.22 09:09:32
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