iPhoneの発売と言えば、IT(情報技術)業界にとって最も大きなお祭りごと。昨年7月の「iPhone 3G」の発売時は、世界各国で徹夜の行列が見られ、真っ先にiPhoneを手に入れた若者はテレビカメラの前で狂喜乱舞した。
しかし、今回は地味だ。米ニューヨークのマンハッタンにあるアップルストアの旗艦店で、前日から並んだ若者は数十人ほど。19日朝には100人程度に膨れたものの、1週間前から行列ができ、数百人が並んだ前回に比べればおとなしい。
国内では6月26日からの発売。これに先だって、ソフトバンクモバイルは6月18日、先行予約を店頭で開始したが、今回は最高で200人ほど。午後には行列は解消された。昨年7月のiPhone 3G発売時は、1000人以上が列を成した。
「革新的ではなく、進化的」。メディアは今回の新機種を、一様にそう評している。だが、新製品にだけ、メリットを詰め込んで買い替えを促す家電業界お得意のビジネスモデルに、アップルは興味がない。
「iPhone経済圏」全体の活性化。それこそが、今回のアップデートの真骨頂である。
それは、そこにいた誰もが事前に知っていた、あるいは予想していた範囲を超えることのない、想定内の発表だった。
6月8日、米サンフランシスコで開かれたアップルの開発者向け会議「WWDC」。基調講演の開始から1時間45分後。病気療養中のスティーブ・ジョブズCEO(最高経営責任者)の留守を預かるフィル・シラー上級副社長が登場する。
手には、大方の予想通り、iPhoneの新機種。だが、サイズも見た目も画面も現行モデルと全く同じ。中身の部品も、CPU(中央演算処理装置)の処理 性能が2倍程度になった、カメラの画素数が200万から300万に増えた、バッテリー寿命が伸びた、といったマイナーチェンジにとどまった。
ソフト面では、「コピー&ペースト」や「アプリケーション内課金」といった100の新機能が加わった。だが、これを実現する新OS(基本ソフト)「iPhone OS 3.0」の内容は、既に今年3月に公表済み。今さら新味はない。
ノー・サプライズ――。しかし、iPhoneに関わるすべての人間の不満を極力解消した、という自信が、シラー副社長にみなぎっていた。
デジタルガジェット好きの「ギーク(技術オタク)」にとって、iPhone 3Gの基本性能は決して満足できるものではなかった。
カメラは付いているが、画素数は200万画素。焦点を合わせる箇所によってピントを変える「オートフォーカス」も付いていない。国内の携帯電話は、オートフォーカスはもちろん、画素数も500万を超え、中には800万以上の機種もある。デジタルカメラ並みだ。
iPhone 3G Sは、まずここを改善してきた。画素数を300万に向上させ、オートフォーカス機能も付けた。それでもまだ、プリント用途には足りないかもしれないが、iPhoneの3.5インチの小さな画面やパソコンで閲覧する分には、十分である。
加えて、携帯電話のほとんどが備えている動画撮影にも、iPhone 3G Sは対応した。遅れた分、指で簡単に直感的に操作できる「マルチタッチ」機能を生かした動画編集機能も付けた。撮影したその場で編集して、簡単に 「YouTube(ユーチューブ)」といった動画投稿サイトにアップすることができる。
iPhone 3G Sの「S」はスピードを意味する。処理性能、通信速度も2倍程度まで向上させた。これで、時折、文字入力中に一瞬、固まる現象や、ソフトの起動やウェブサイトの閲覧中に若干イライラさせられることが、ほぼ無くなった。
ギークは、こうした基本性能の向上に満足するかもしれない。だが、iPhoneを「高度な知識を持った人にしか扱えない高級品」と畏怖する層には、それほど訴求力のあることではない。このご時世、「性能はいいから安く」と求める消費者も多い。
だからアップルは、旧型のiPhone 3Gの廉価版を199ドルから半分の99ドルに値下げして、引き続き販売することにした(国内では、ソフトバンクモバイルの2年契約加入が条件で、8GBモデルの端末価格は実質ゼロ円)。
アップルは、もう1つの層、既にiPhoneやiPod touchを持っているユーザーへの施しも忘れない。何しろ、iPhoneとiPod touchのユーザーは、既に全世界で4000万人以上もいる。
新機種に搭載されているOS 3.0には100以上の新機能が追加され、これまでのiPhoneユーザーから「使い勝手が悪い」と噴出していた不満が、ほぼ解消されている。
例えば、文字入力時に出現する仮想的な「ソフトキーボード」は、ウェブサイトを閲覧している時のみ、画面を横向きにして、キーを大きく打ちやすく することができた。3.0では、メールやメモ入力など、すべてのシーンで横向き入力を可能にした。このほか、コピー・カット&ペーストやiPhone内す べてのコンテンツの検索を可能にしたなど、改善点は枚挙にいとまがない。

アップルはこのOSを、新機種発売の1週間前、すべてのiPhoneユーザーに無償で提供した。提供開始から5日間で600万ダウンロードを記録 するという人気ぶり。iPod touchユーザーは有償だが、それでも9.95ドル(国内は1200円)と、「Windows」のアップグレードに比べればはるかに安い。
あらゆるユーザーに配慮したアップルは、iPhone経済圏を支える、iPhone向けソフトの開発者へも、大きな施しを与えた。自由度だ。
>>次ページ 100万以上の書籍、170の日刊新聞、50の有力雑誌を配
年賀状は早いほうが・・ 2017.09.07
パソコンメンテナンス 2017.07.06
土日もなんだか忙しいなあ 2016.12.12
PR
キーワードサーチ
カレンダー
コメント新着
フリーページ