マイクロソフトは2009年6月4日、「マイクロソフトOffice互換」をうたう低価格なOfficeソフトと同社の「Office 2007」を比較する「“The Facts”キャンペーン」を開始した。第3者機関による検証結果を公表し、Office 2007の優位性と、他社製品の互換性における限界を指摘する。検証結果をWebサイトに掲載するほか、その概要をまとめたチラシを量販店で配布する予定 だ。
今回の製品比較は、客観的に評価する第3者機関としてインプレスジャパンに委託し、2009年3月に実施した。対象は 「EIOffice2009」「Kingsoft Office 2007」「スタースイート 9」「ThinkFree てがるオフィス」の4製品。ただしKingsoft Officeについては、調査後に「Kingsoft Office 2010」が発売されたため、5月に再度検証した。これら4製品について、機能や使い勝手、動作の高速性、ファイルの互換性などを綿密に比較。6月4日か ら5回に分けて、Webサイトに結果を掲載する。第1回となる今回公開されたのは処理性能について。以降、第2回は互換性(6月11日)、第3回は操作性 (6月18日)、第4回は安全性と拡張性(6月25日)、第5回はまとめ(7月2日)と順番に公開する。
例えば処理性能については、表計算ソフトの中でExcel 2007が最も起動が速く、メモリー使用量が最も少ないという結果が出たという。互換性に関しては、Wordファイル36個、Excelファイル29個、 PowerPointファイル25個を各Officeソフトで開き、どの程度ファイルを再現できるかをチェック。他社製Officeソフトの互換性は、 25%から76%の間にとどまると結論づけている。
や 数式といった、いわば表計算ソフトの生命線とも言える機能の互換性に問題があるケースも見られました」と指摘している。これらの検証結果は、詳細なデータ と一緒に公開される予定で、処理性能の差や使い勝手(操作手順)の違いが伝わりやすいように、動画による説明も検討しているという。
同社がこのような調査を実施して公開するのも、2008年後半から互換Officeへの注目度が高まり、そのユーザーが徐々に増えているからにほ かならない。互換Officeの起爆剤となったのが、いわゆる「ネットブック」の台頭。5万円前後で販売されるネットブックには当初、Officeソフト が付いていなかったため、低価格の互換Officeを別途購入するユーザーが少なからずいた。例えば、ソースネクストが販売する「ThinkFree てがるオフィス」の場合、光学ドライブを備えないネットブック向けにUSBメモリー版を発売したところ、従来の9.6倍の販売を記録した週も出てくるな ど、売り上げが一気に伸びたという。
天下のマイクロソフトも、ネットブックの人気とともに互換Officeにシェアを奪われ、危機感を感じているのではないか――。この点について同社に尋ねてみた。
「ネットブックが台頭する前も台頭した後も、当社のOffice製品に対する影響はなく、シェアや販売本数の変化はなかった。今でも右肩上がりで 増えている。ところが半年前くらいから、当社のサポートセンターに他社製Officeのお客様からの問い合わせが増えている。他社製のOfficeを購入 したのだがマイクロソフトOfficeのファイルを開けない、あるいは開けてもレイアウトが再現されない、パッケージが似ているので間違って購入してし まったが何とかならないか、といった相談まである。低価格な他社製品を否定するつもりは全くないが、安易に低価格なOffice製品を購入して困っている お客様が少なくないようだ。現状では、それらが快適に動くのか、マイクロソフトOfficeに対する互換性が本当にあるのか、使い勝手や拡張性、サポート はどうなのか、といった情報が少ないので、我々が中立的な立場でそういう検証を行えばいいと考えた。」(同社インフォメーションワーカービジネス本部 Office製品マーケティンググループ エグゼクティブプロダクトマネージャの飯島圭一氏)
とはいうものの、同社がネットブックのユーザーに対してOffice 2007の販売を強化しているのは確かだ。例えば、2008年末から2009年3月にかけてネットブックにも「Office Personal 2007」を添付する製品が登場したが、Officeを添付しないモデルとの差額は約1万円だった。デスクトップや通常のノートパソコンでは、 Officeを添付すると約2万円のプラスになるのが慣例なので、同社がネットブック向けに通常よりも低価格でOfficeを提供していたと考えられる。
これに代わって2009年4月には、Office Personal 2007の「2年間ライセンス版」を発表。ネットブックに添付する低価格版として、パソコンメーカーに提供し始めた。Webサイトでも、Officeを添 付するネットブックの製品紹介や、光学ドライブのないネットブックにOfficeをインストールする方法の説明など、ネットブック向けのコンテンツを充実 させている。今回スタートする互換Officeの比較検証については「ネットブック対策のみが目的ではない」(同社広報)としているが、ネットブックを強 く意識していることは間違いない。
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