セキュリティ対策ソフトの代表的な機能は、コンピューターウイルス(以下、ウイルス)対策である。ウイルス対策機能により、Webサイトへのアクセ ス、迷惑メール、USBメモリーなどを通じて感染を試みるウイルスからパソコンを守っているのだ。
パソコンがウイルスに感染すると、IDやパスワードなどのアカウントが盗まれたり、パソコンを乗っ取られて迷惑メールを送信する踏み台に悪用されたり、 パソコンが起動しなくなったりする。無論、自ら「ウイルスです」と名乗ったりはしない。exeファイルやPDFファイルなど、一見すると普通のファイルの 姿をしているケースが多い。それを実行したり開いたりすることで、感染してしまうものがほとんどである。ウイルス感染を防ぐため、ファイルを実行したり、 開いたり、保存したりする際に、ファイルの安全性を確認する作業が「ウイルスチェック」だ。
ウイルスチェックの実行時に活躍するのが「パターンファイル」(ウイルス定義ファイルなどとも呼ばれる)である。不審なファイルを大量に集め、その内容 を対策ソフトメーカーが解析。情報を盗んだり、パソコンに悪さをするようなファイルがウイルスと判断される。ウイルスと判断されたファイルの特徴的な部分 を抽出し、データベース化したのがパターンファイルだ。このパターンファイルとファイルを照らし合わし、開いたり保存したりしたタイミングで、特徴に合致 するかどうかをチェックし、パソコン上のファイルがウイルスかどうかを判定する。ウイルスと対策ソフトが判定したファイルは、実行されないよう、対策ソフ トの専用領域に移動される。
このようにパターンファイルはウイルスチェックに不可欠な防波堤である。安全な状態を保つためには、自動的にパターンファイルを更新するように設定する のが基本だ(図1)。
総論 で も紹介したように、ウイルスはいまや1.5秒に1つ出現するほどの頻度と言われている。パターンファイルに反映される前に、ウイルスをパソコンに持ち込ん でしまっている可能性がある。その場合も、パターンファイルにウイルスの情報が反映されれば見つけられるので、定期的なチェックが欠かせない。この点、セ キュリティ対策ソフトは手動でスキャンしたり、スケジュールを指定して定期的にパソコンをスキャンする機能を備えている(図2)。
この機能を使って、定期的にパソコン全体をスキャンするよう心がけよう。とはいえ、いまやノートパソコンでも数百GBクラスのハードディスクを搭載する モデルが珍しくない。パソコン全体をスキャンすると時間がかかるため、就寝前など時間に余裕のあるときに実行するといいだろう(図2)。
ウイルスは、感染すると、実行された状態を保つためにメモリー上に常駐したり、自動的に実行するように設定を改変したりするものが多い。そこで、セキュ リティ対策ソフトは、パソコンのハードディスク全体をチェックする機能に加え、メモリーやWindowsのシステム領域、レジストリなど、ウイルスの潜む 可能性の高い場所に限定してすばやくチェックする機能を備えている(図3)。
このほか、Webメールやメッセンジャーなど、ユーザーが使用するサービスに応じて、監視対象を細かく設定することも可能だ(図4)。例えばメッセン ジャーは一切使わないなら、メッセンジャーでのやりとりをチェックしない設定に変更すれば、ウイルスチェックにかかる負荷を軽減できる。
高頻度で出現するウイルスをセキュリティ対策ソフトメーカーが単独で収集するのは難しいのが現在の状況だ。そこでセキュリティ対策ソフトメーカーの多く は、ユーザーにもウイルス収集に一役買ってもらう機能を取り入れている。
例えば、トレンドマイクロの「ウイルスバスター2010」は、パソコン上で、「怪しい」動きをするファイルの情報を収集する機能を備えている(図A)。 これに協力すると、情報が匿名でトレンドマイクロに送信される。送られてきた情報をトレンドマイクロが解析し、ウイルスの場合にはパターンファイルに登録 される。同様の機能はカスペルスキーの「Kaspersky Internet Security」も同様の機能を備える
シマンテックの「Norton Internet Security」の場合、不審なファイルに限らず、情報を収集する機能を備える。収集した情報はシマンテックが分析し、それらのファイルに「評価」を与 える。その結果、不審でも安全でも評価をパソコンに表示する。
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