前章までに書いたように、安易なパスワードは簡単に破られる。パスワードを設定していない場合や、ユーザーIDやメールアドレスと同じ文字列をパスワードにしている場合は論外。「破ってください」と言っているようなものだ。今すぐ変更してほしい。
辞書にある単語や簡単な文字列を使っている場合も、ツールを使えば、短時間で破ることができる。そうしたパスワードを設定している場合には、いつ破られても不思議はない。できるだけ早急に、強いパスワードに変更する必要がある。
強いパスワードの作成方法としてお勧めなのが、自分が覚えていられる文章や文字列をベースに、自分なりのルールで作成すること(図1)。これなら、最終的にできあがった文字列は一見ランダムでも、覚えていられる可能性が高い。
まずは、自分が覚えていられる文章や文字列を考える。自分が好きな歌や古典の一節でもよいし、小説や映画などの登場人物名を並べたものでもよい。
文章や文字列を考えたら、そこからアルファベットなどの文字を抽出して、一見無意味な文字列に変換した後、記号や数字の挿入あるいは置き換えで強化する。文字列の追加や繰り返しも効果がある。以下、具体的な手順を紹介しよう。
最初にやるべきことは、「パスワードのもと」となる文字列を作ること。自分が覚えていられる文章を思い浮かべたら、それからアルファベットの文字列を生成する。日本語の文章をベースにする場合には、まずはローマ字に変換してから、文字を抽出する。
抽出する方法はいろいろある(図2)。例えば、子音だけを抽出する方法や、1文字おきに抽出する方法が考えられる。複数の単語や文節がある場合には、それらの最初の文字だけを並べてもよい。ローマ字列の前後を逆にして並べても、一見無意味な文字列を作れる。
具体的には、思い浮かべた文字列が、枕草子の「春はあけぼの」だったら、「Hrhkbn」「HrhAeoo」といった文字列が考えられる。他人にはランダムに見える文字列でも、作った本人なら、容易に“再生成”できるだろう。
「パスワードのもと」ができたら、それを強化して「パスワード」に仕立て上げる。強化する方法はいろいろあるが、必ずやってほしいのが、記号の追加・挿入だ。元の文字列が単純でも、記号を入れるだけで、辞書にはない文字列になるとともに、総当たり攻撃にも強くなる。
前章 で紹介した「ありがちなパスワード」。いずれも、破られるまでの推定時間は0秒。弱いパスワードの代表例だ。
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