1996年に誕生したプラグインの「Flash」は、長年Webブラウザー上でリッチなコンテンツを実現する土台の役割を担ってきた。「世界の主要な Webサイト100のうち、約85%がFlashを採用」(アドビシステムズ)。アニメーションや動画をWebブラウザーの画面いっぱいに表示する 「UNIQLOCK」(ユニクロ)のように、たくさんのFlash対応Webサイトを私たちは日々楽しんでいる。
歴史が長いFlashは、膨大な数のコンテンツ制作者が世界中におり、これを見るためのFlash Playerのプラグインもほとんどのパソコンにインストールされている。世界中のインターネットにつながったパソコンのうち、実に98%がFlash Playerを組み込んでいるとされる。
既に普及したFlashのプラットフォームは、HTML5の時代が到来しても、役割は変わらないとアドビシステムズは考える。HTML5で現在の Flashと同等のことができるようになるにはまだ時間がかかるとみて、Flashの技術をさらに強化し、もっと表現力豊かなコンテンツを作れるようにす る。
さらに、Flashの機能を拡張した「AIR」と呼ぶ独自のアプリケーションプラットフォームを2008年に発表しており、現在はFlashとAIRの2本立てでWebのリッチ化を進める。
AIRについて、少し詳しく説明しておこう(図1)。FlashはどのWebブラウザーでも再生できるのが特徴だ。この概念をさらに発展させ、どのOS でも動くアプリケーションを実現したもの。それがAIRだ。AIRに対応すれば、Webと連携して動作するアプリケーションが容易に開発でき、OSや機器 を問わないのがメリットである。Windows用に作ったのでMacでは動かない、といった互換性の問題がAIRにはない。AIRアプリケーションを動作 させるには、これを実行するための専用ソフトさえ組み込んであればよい。
制作者側にとってもAIR対応アプリケーションを開発するメリットは大きい。まず、Flashコンテンツの制作経験を生かしてアプリケーションを開発で きる。そして、機器ごとに作り直す必要がない。OSの壁を超えて動くアプリケーションを1つ作ればよく、開発の負担が軽い。
Flashは主にアニメーションや動画を表示することが機能の中心だが、AIRアプリケーションではもっと複雑な機能まで作り込める。例えば、 Twitterのクライアント「Tweet Deck」は、Windowsアプリケーションに見劣りしないほど多機能だ(図2)。ICカードリーダーを読み取るなど、周辺機器と連携させるアプリケー ションも開発できる。
FlashとAIRの2本立てでWebコンテンツのリッチ化を進めたいアドビシステムズは、再生できる環境を広げ、ユーザー側の利便性を高めつつ、より効率よく制作する環境も整えることに注力する。
まず再生環境は、FlashやAIRをパソコン以外の機器へ広げる。携帯電話機やテレビで実行できれば、ユーザーはお気に入りのFlash対応サイトやAIRアプリを、パソコンに縛られず移動中やリビングルームでも楽しめるようになる(図3)。
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