
何だか最近パソコンが遅くて使いづらい──。そう感じる頻度が高いのであれば、その原因はメモリーにあるかもしれない。慢性的なメモリー不足は、動作のもたつきや不安定さにつながる。例えば、アイコンをクリックした後でアプリケーションがなかなか起動しない、カリカリと音がしてハードディスクのランプの点滅が止まらない、動作が止まって操作できなくなる。そんな現象が頻繁に起きているのであれば、メモリー不足の可能性が高い(図1)。
図1 メモリー不足が頻繁に起こっている状態になると、パソコンの使い勝手は悪くなり、快適に利用できなくなる。アプリケーションが起動せず、ハードディスクの読み書きが止まらないといった現象は危険信号だ
メモリーとは、パソコンがデータを参照して各種の編集を加える際の記憶場所となる部品のこと。パソコンのカバーを開けると、短冊状あるいは名刺を半分にした程度のサイズの基板がマザーボード上のスロットに挿し込まれている。これがメモリーで、基板上には半導体のメモリーチップが付いている(図2上)。
図2 メモリーはCPUやOSが各種の処理をこなす際に使うデータを記録する。いわば、人が仕事をする際に書類を広げる机のような役割を持っている
パソコンでは、アプリを起動する、ファイルを編集するといった作業に必要な情報を、ハードディスクからメモリーに読み出して実行する。人がオフィスなどで仕事をする場合に例えると、メモリーは書類を広げるために使う机、ハードディスクは書類を保管するための棚と考えられる(図2下)。
朝、仕事を始めたばかりの状態では、机に空きのスペースがある。複数の仕事が舞い込んでくると、徐々に机のスペースが足りなくなる。空きがない場合、新しい仕事に着手するには、差し当たり必要のない書類を棚に戻す必要がある。
ところが、もう一度元の仕事をやろうとすれば、棚に戻した書類を取りに行かねばならならない。机が狭いと、一度棚に戻した書類をまた取りに行かなければいけないケースが増えてくるため、頻繁に机と棚との間を行き来しなくてはならない。
一方、机の上に十分なスペースがあれば、一度開いた書類をそのままにしておけるので効率的に仕事ができる(図3)。実は、このようなデータのやり取りがパソコンの内部で起きている。だからこそ、パソコンを快適に利用するには十分なメモリー容量が必要となる。
図3 メモリー容量が少ない場合、メモリー内部のデータをハードディスクに退避させて別のデータを取り出す動作が頻繁に起きる。机と棚の例で言えば、書類を出し入れする頻度が高まるため仕事の効率が悪くなり、全体の処理が遅くなる
パソコンがどの程度のメモリー容量を搭載していれば十分といえるのか。これを判断するための材料として、Windowsのシステム要件に示されたメモリー容量を見てみよう。2001年に登場したWindows XPは128MB以上が推奨だった。2006年発売のWindows Vistaでは512MB、2009年のWindows 7では1GBからとなり、要求されるメモリー容量は徐々に増えている(図4)。ただし、2012年に発売となった最新OSのWindows 8ではWindows 7と同じ容量になっている。
図4 これまでは新しいバージョンのWindowsが登場するたびにシステム要件で示されたメモリー容量は増える傾向があった。Windows 8ではWindows 7から据え置きの1G~2GBとなっている
搭載可能な最大の容量もWindowsの仕様として定められている。
数年前までは主流だった32ビットOSの場合は最大で4GBまでとなる。これは、メモリー内部でデータを記録する場所を示す番地(アドレス)を、32個の「0」または「1」で示すため。アドレスの数は2の32乗=約43億となる。1つのメモリーアドレスで8ビット分、すなわち1バイト分のデータを管理する仕組みなので、32ビットOSが扱える最大の容量は約43億バイト=4GBとなる。
同じように計算すると、64ビットOSでは原理上で16EB(エクサバイト)=約172億GBまで扱えることになる。ただ、現状ではそこまで大量のメモリーをパソコンに搭載することは現実的ではないため、OSのバージョンや種類によって最大8G~512GBに制限されている(図5上)。
32ビットOSが利用できるメモリーが最大4GBといっても、その全てが利用できるわけではない。
Windowsの「システム」のプロパティを見るとパソコンが搭載しているメモリー容量を確認できる。ここには「3.43GB使用可能」などと表示されている(図5下)。これは、ハードウエアが利用するメモリー領域を引いたもので、実際にOSやユーザーが利用できる容量を示している。
図5 32ビット版のWindowsは搭載できる容量が最大で4GBまでという制限がある。システム用の領域が確保されるため、ユーザーが実際に利用できる容量はさらに少なくなる
同じ容量のメモリーを搭載していても、64ビットWindowsよりも32ビットWindowsの方が、この数値が少なくなる傾向がある。これは32ビットWindowsでは、CPUが周辺機器との通信に使う経路としてメモリーのアドレスを流用しているため。一般に32ビットで4GBのメモリーを搭載していても、使用できる容量は3.5GB以下になってしまう。64ビットOSでは、CPUと周辺機器の通信に使う経路をメモリーのアドレスとぶつからないように割り当てられるので、使用できる容量が少し増える。
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