こころの宴(うたげ)。    

こころの宴(うたげ)。    

スイッチ・オン



君は僕の携帯をその小さな両手で包み隠した。

僕が関わりあう世界のすべてを見たくないというように
白い息が液晶画面を曇らせて

「彼女サンに怒られちゃう、かな・・・」

微妙な笑顔のまま
僕の腕の中で、君はうつむいた。

違う味のリップクリームを受け入れた夜。

何も言えなくなった僕の鼻のあたまを
君は人差し指でちょこんと押して
眠っていた僕の中の何かの電源を入れた。

「スイッチ・オン」

              「スイッチ・オン」







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