こころの宴(うたげ)。    

こころの宴(うたげ)。    

さみしさの2千円


ぼくらは必死で探している。

いつか5千円札を簡単に財布から出して
「そういえば学生の頃はいつも飲み会は3千円だったな」
と笑うときが来るのだろうか。

増えた2千円は大人になった証拠なのか。
お金がなかった学生時代への復讐にも似たものなのか。

3千円じゃ決して食べることが出来なかった料理を目の前にしながら
大人になった自分を誇りに思うのだろうか。

でもきっと
大人になった5千円の宴会は
学生時代の3千円の飲み会にはかなわないはずだから。
上乗せされた2千円は
懐かしさとともにさみしさも知っている。

あの頃へ絶対に戻れない、さみしさを知っている。


               「さみしさの2千円」


© Rakuten Group, Inc.
X
Design a Mobile Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: