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29歳の頃の私、30歳になることなんて何も思わなかった。
むしろ早く追いつきたいと思っていた私は、30歳になって嬉しかったくらいだ。
あの頃の私は「どうということのない生き方をしている」とも思ってなかったし、
諦めることも下手だった。
『ブルー・ブルー・ブルー』
電話はあまり得意な方ではなかった。
友達となら気軽に番号を押せるのに、 少しでも恋が絡むととたんに指は躊躇する。
押しつけがましい女と思われたくない 。
それほど惚れているのかと思われるのもイヤだ。
もし電話して、素っ気ない態度を取られたり迷惑そうな声が返って来たりしたら、きっとひどく傷ついてしまう。
たかが電話ぐらいで自尊心を持ち出すことはないのだろうが、恋はいつだって、自尊心との戦いでもある。
最終章に入った頃には、私は30代瀬戸際の私の今を主人公真緒に投影していた。
『明日に続くすべて』
「そう、もう29歳よ、すぐ30歳になるわ。そんな女が寂しがってはいけない?
不安がってはおかしい?
もう、誰も自分を守ってくれないんだって考えたら、死にたくなってしまう時だってあるのよ。
年齢を押しつけないで欲しいの。
いくつになっても、誰も一人では生きられないわ」
もし今、彼の気持ちを受け入れてしまえば、それなりの幸せを手に入れられ たのかもしれない。
けれども、その幸せはたぶん後味の悪さをずっと引きずることになるだろう。
それを抱え込んでまで生きていくほど、果たして自分は彼を必要としているだろうか。
たぶん、本当に欲しいものなら、どんな手段を使っても奪いたいと思うに違いない。
その気持ちがなかったことが答えなのだ、と私は思った。
いつまでも愚痴々想いながらも受身でいるのはそれ程でもないということ?
今手に入れようとしているモノも私にとっては止まり木のようなもでしかないのかもしれない?
だってそんなに欲しくて欲しくて恋焦がれるモノでもない・・・気がする。
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