”ぷろぺら”の,「一日は誰にもやっぱり一日」

”ぷろぺら”の,「一日は誰にもやっぱり一日」

ばあちゃん


自分の住んでいる所からバスで2時間かかるところに住んでいた。
正月と、夏休みと、年に2回くらいしかばあちゃんの
家には行かなかったけれど、時々うちの家までお土産を持って、
遊びに来てくれていたような、かすかな記憶がある。

もう30年以上も前の夏。田舎に行くと家の外に湧き水を貯めてある
「いのこ」って言うのがあった。そこには大きなすいか 真っ赤なトマト 
少しトゲトゲのあるきゅうりが、プカプカと隙間なく浮かんでいた。
ばあちゃんはすぐに、本当によく冷えた大きなすいかを切って
俺達に食べさせてくれた。

いなかの台所には、かまどがあって小さな井戸があった。お昼ご飯は、
かまどに据えられたお釜でふっくらと炊き上がっていて、
それに卵をかけて食べさせてくれた。(当時卵は貴重だったことを後で聞いた)
でもご飯は冷えてからもうまかった。
3時になると今度はお釜の底の方に出来たおこげに塩をつけて、
おおきなおにぎりにしてくれるのだ。これもまたうまかった。おこ
げの塩にぎりこれが一番のばあちゃんの思い出だ。
俺が、野菜やご飯が大好きなのは、ばあちゃんが本当においしい
野菜やご飯を食べさせてくれたせいかもしれない。

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