じいちゃんとはなんだ
「ほら」
と小亀をくれた。
今思えば父親に似た人。私の祖父だ。
それからは、はっきりした記憶がない。
聞くところによれば7年の闘病後なくなったという。
計算すると私がおよそ4歳くらいのときだろうか。
昭和48年の秋に亡くなった。
そのあと祖父の額に手を当てた。
びっくりするほどの冷たさにこれが死ぬことかと思った。
当時11歳その冷たさは今も手の中にある。
決して怖くはなかった。
死して死を孫に伝えた祖父。
祖父は馬を扱わせたら村一番という祖父さんだったらしい。
うちの親父も馬に乗り農作業をしていたという。
扱いも上手だったと自負している。
馬は人の心を読むというそれだけにむつかしいのだそうだ。
馬の扱いがうまかったため祖父さんは馬を引き日露戦争に
出兵シベリヤに行っている。
歴史的な事実に身近な人がかかわっていることに不思議な気分になる。
かすかな記憶と残った写真を見ると
じいさんは顔が日本人離れした顔だった。
たとえて言うなら元広島カープの衣笠のような・・もっというなら
パプアニューギニアの原住民のような顔だった。
その遺伝子をしっかり次いでいるのが父と弟のおじさんである。
ちなみに私は南方系の外観的な遺伝子は受け継いでないようだ。
そしてそのおじさんが病気で倒れてしまった。
さいわい最悪の事態にはならなくてよかった。
自病があったらしいのだが何とかなるだろうとあまり
医者にも行かなかったそうだがそのようななんとかなる精神は
遺伝子として受け継いでいるようだ。
私にできることは親父やそのおじさんの歩いてきた道を参考にして
自分を戒めることだろう。
多分同じような病気になったり、同じような人生を歩いていくに違いない。
安堵することもなく悲観することもなく淡々と歩いていくしかない。
私には兄弟がいるおじさんおばさんがいる。
親戚、いとこがいる。
でも現在の少子化で一人っ子が増えた。
一人っ子同士が結婚するとその子供にはおじさんも
おばさんもいないという事になる。
それがどうしたの？
といわれそうだが人生のもっとも身近な師匠が少なくなるという
ただそれだけのことだ。
親や祖父母がもっともっと子や孫に人生を語ることだ。
人生を語る大人が少なくなったことがもしかしたら
世の中が変な方向に向っている一因かもしれない。
大人になるということは自分の親を乗り越えること。
生きていくことは親の人生を参考にすること。
迷ったときは案外身近に参考になる人いるというそれだけのこと。
私もじいさんになり孫に死を伝えるそれも淡々と。
人生を語ろう淡々と。
もうそう遠くないところにいるのだから。
最後にじいちゃん 名前をつけてくれてありがとう！
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