その5

★★ザ・社長への道!★★その5
~再びポートランド・4~


何の収穫も得られずに屋台会場に戻ってきた私だったのだが、
この日にはもう一つの希望があったのだ!

そう、今日は全6店舗をしきるオーナーが来るはずの日なのだ!!


日本の屋台やテキヤさんといえば、ヤク○さんの影がちらつく印象ないですか?
ってこたぁ~アメリカも屋台と言えば・・・・ マフィアかギャング?

今日、 会えるはずの揚げパンZの総本締め。。
もしかしたら揚げパンZの作り方を知る為に来た自分にとっては
師匠になるやもしれないお方なのだ・・・

マフィア・・・どんなお方なのだろうか・・・??

恐らく、家の周りを黒のスーツにサングラス、マシンガンをもった部下が囲い、
家ではバスローブを羽織り、膝の上にはシャム猫。
指には巨大な石のついた指輪をし、ブランデーグラスを回しながらコニャクの香りを楽しみ、
机の上には鏡と大量の片栗粉。
そしてもちろん口元には極太のシガー。
人を見下すような目で見て、微笑みを浮かべた瞬間には裏切り者をバットで殴り殺す・・・

まるでマーロン・ブランドかデ・ニーロかって感じの・・・これぞマフィアだ。


こんな人に俺は弟子入りするのだろうか?
俺までマフィアになってしまうのか?



そんな事を考えながらも~

屋台で働く人間がもし昨日と違ったら、
何か情報を引き出せやしないかと企むが・・・どこも同じ人達だった。

昨日さんざん喰らい着いたのであっちもこっちを覚えてるらしく~
「材料はなんなんですかね~?」
「卵は入ってるんでしょうかね~?」

と聞いてみても~答えはやはり、

『知らない』
の一点張り。

「今日ってオーナーさんが来るんですよね?何時位に来ますかね?」

『あそこにいるよ』

指をさす店員。


「えっ!?もう師匠とご対面!?早すぎだよ!!」


俺は振り返った。いったいどんな渋いマフィアが待ち受けてるのか・・・・???


しかも初マフィアだし!!



そして・・そこにいたのは、


























ポメラニアンを抱えた、
推定年齢50歳位のしわくちゃで、
おまけに身長150cmくらいの
小さなおばあちゃんだったのだ!!



うげっ!


「えっ!?あの人がオーナーなの?(ってかヨーダじゃん・・・)」

『そうだ。』

(ちなみにヨーダとはスターウォーズに出てくる、ちちゃいくせにすごい宇宙人の事である)

そうならば、行くしかない。近づいてみる。


「あの・・・・」

覚悟を決めてヨーダに話し掛けると、
ヨーダは、びくっ!!として振り返り私を見上げた。

「揚げパンZのオーナーさんでしょうか?」

『あ~そうだけど・・。なにか?』
とっても怪訝そうだ。ヨーダのくせに態度だけはXLだ。

「どうしても、家で作って食べたいので揚げパンZの作り方を勉強しに来たんで・・・・」

その時!!
最後まで言い終えてもないのに
ポメラニアンを抱えて ヨーダがテケテケと逃げ出したのだ!!

「(待てこのヨーダ!!)」

手を十字に広げ通せんぼをして周りこみ!

「これの作り方を勉強する為に日本からわざわざ来たんです!
お願いですから生地のレシピをご存知でしたら教えて下さい!!
それか、お金はいりませんからあなたのお店で働かせてくだ・・・」

またもや最後まで言い終える前に、
ヨーダは別の方角にテケテケと、ポメラニアンを抱えて逃げ出したのだ!!

また周りこもうとしたその時!!


ヨーダの手が、 しっしっ!あっちへ行け! してるのだ。。


あまりのショックで呆然と立ち尽くす・・・・

ヨーダは人混みに紛れて姿をくらませてしまった。
最後の手がかりが消えてしまったのだ。

借金までして!!
揚げパンZの作り方を知る為にわざわざポートランドへ来たのに・・・・
二日目にして全ての可能性が消えてしまったのだ。
これからどうしろと言うのだ・・・・


つづく




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