2004.07.21
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テーマ: 小説日記(233)
カテゴリ: カテゴリ未分類

早くしなければ。
義務感が僕を襲う。
僕の一秒間でどれだけの人が死ぬのか?
僕が一秒でも速く助けを呼ぶだけでどれだけの人が助かるだろうか?
枝で足を引っかいても、ヒルが足に飛びつくのを捉えても
月影の踊る山道を僕は走りつづけた。



序章・『大河の源泉』


ほの暗い土壁の個室
素晴らしい
ガラス管から生まれた生命。
完成品だ
科学者達が歓喜する。
新たな命
自分。
これで五人目か。

至急道灌殿に連絡しろ。
(道灌?)

「お~い」
まぶしい陽光が僕を刺す。
こんな誰とも知れない野郎の呼びかけに答える義務なんて僕には無い。
気にせず睡眠を続ける
「おい!」
それにしてもよく分からない夢を見た。
人がガラス管から生まれてくるなどありえない話である。
「答えてくんろ~」
(道灌?)

故郷も。
親の顔も。
何もかもを。
(あれ?)
頭がズキズキとさすように痛む。

袴に紋付の胴衣。かなり変な格好にたじろいでいる僕に、隣の水溜りが追い討ちをかける。
自分の顔、とろりとした大きな目。
「なんだ!この白髪は!」
「僕はまだ若いぞ!」
猟の帰りと見える男が呆れたようにこちらを見ている。
「おめぇ、頭大丈夫かえ?」
「いや、大分駄目だ。」
慌てていたせいか、大分早口になってしまう。
「おい、おちつけぇ。」
田舎流の間抜けななまり言葉で心配されるとは僕も堕ちたものだ
頭が真っ白になり、胸に正体の分からない不安感がこみ上げてくる。
もう自分が何を言っているのか自分でもわからない。
「そうじゃないんだ」
記憶の欠落。
消え去ってしまった自分
「僕は誰だ?」








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最終更新日  2004.07.21 23:18:16
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